March 22, 2009

観劇レポウト『珍しいキノコ舞踊団』

「めがね」という映画がありましたが
(過去のレビュー記事はこちら

あの作品中、
もたいまさこが指導する奇妙な体操が、
一つの見せ場を作っていました。

その名も「メルシー体操」。
なんとも形容しがたい、
複雑ではないけれど誰も思いつかない、
脱力感溢れるキテレツな身体表現であり、
一度見たら忘れられないものでした。


さて、あのメルシー体操を振り付けた
伊藤千枝さんが主宰のダンスカンパニーが、
このたび観ました「珍しいキノコ舞踊団」です。

タイトルは『The Rainy Table』。

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小劇場系のチラシで名前は頻出ですので
気になってはいましたが、見るのは初めて。
三軒茶屋のシアタートラムにて。



このたびはメディアアートの先駆集団、
plaplax(プラプラックス)とのコラボで、
全編に映像を多用した、不思議な世界観でした。


ダンサーは6名。すべて女性。
コンテンポラリーなんですが、
先述のNOISMや森山開次のような、
驚くべき身体能力とか超絶技巧というものは全くなく、
むしろ「めがね」な奇妙な組体操、といった感じ。


0cbed553.jpg



映像で、事前に録画しておいた
同じダンサーたちの同じ動きを映写し、
何十人も踊っているように見せたりとか、
ダンサーの動きに合わせて映像を
リアルタイムで加工したりとか、

インタラクティブな要素が強い使い方をしていて
映像であるのに「ライブ感」を出す事に
こだわっているように感じました。



あまりキノコに関する事前知識なしで行ったから、
わりと一般的なダンスカンパニーを求めて
見てしまったのかもしれません。

このカンパニーは本来、劇場空間だけでなく、
屋外やビルのエントランスなど、
非常に「実験的な」パフォーマンスを
大きく評価されているチームでした。



なので、舞踊団というからには、もう少し、
身体の動きが素人離れしていて欲しかったかなあ…
っていう感想持っちゃったんですよね。

コンテンポラリーだから型に填まる必要はないんですが、
あれなら私でも出来るよ、と感じちゃったら
見るほうはちょっと残念ですよね。


勿論簡単に見えるリフト(お互いの身体を持ち上げる)なんかは
訓練してなければ到底出来なくて、
見た目以上にすっごく難しいことをやっているのでしょうが…


どんな舞台でも、やはり客としては、
驚きたい。っていう欲求を抱えて劇場に来るので。

ダンスの場合は、それが身体性への驚きであることが
多いんでそのように期待したのですが、
キノコの場合はより演出的な驚きを得意とするんだな、

ってことでした。


今回は映像とのコラボ、とか、条件も多くて
いつものキノコとは違った趣向ということだったので、
キノコ単独の、キノコらしい演出も見てみたいと思います。

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