October 14, 2012

続・闘うアラサー女子

中2男子とめくるめく格闘戦を繰り広げてから、
 
はやひと月。
 
お話にはつづきがあります。
 
 
いよいよ演劇の発表会を来週末に控えた3年生たちに、
演劇指導をしに再び戦場である白新中へ赴きました。
 
 
 
あの2年生は、一年たったらこんなにも大人になるんでしょうか。 
 
 
3年生は2クラスあり、各クラスでひとつずつ、作品を上演します。
 
 
1組が「ナゲキバト」、2組が「泣いた赤おに」。
 
 
各チームで演出担当がテーマや演出を考え、
台詞も全部覚えて良く稽古出来ていました。
 
しかし、、、
 
日本の童話である「泣いた赤おに」は、
大抵お客さんがストーリーを知っているだろうし、
最初から最後まで起承転結、
ごくごくわかりやすく進行するのに対し、
 
最近の海外児童文学の中でも、
その奥の深さが取り上げられ話題になっている
1組の「ナゲキバト」は中学生がやる題材として難しすぎる。
 
 
実際、稽古を観てみると場面転換も多い一組の作品は、
台本をもらっていなければ一度では把握できない筋書き。
 
私に与えられた時間は、一回通し稽古を観たあと、ダメ出し15分。
 
実際見てみたら、本編は45分もあり、大混乱。
まさにこれは、ちょっとアドバイスをしても焼け石に水!
 
でも私、今日しか呼ばれてないし…
どこまで言うかは悩みどころ、
この子達の目的はクオリティの高い舞台ではない。
 
でも全然面白くなかった、嘘をつくことはできん!!!
 
 
あと一週間半ある。
ゆめひかりだって最後一週間で大変身するんだ。
よし、子どもたちのガッツを信じよう。
 
 
「ごめん、正直よく伝わってこなかった。」
 
 
そして15分間、とにかく話の筋がよく見えるように、
表情や気持ちや役柄が伝わるように、
俳優にもスタッフにも、具体的なアドバイスをしました。
 
しかしほんの15分。何か役に立つのだろうか。
 
 
教務室で教頭先生や担当の先生としばらくお話し、
あと一週間できる限り観てあげてくださいと挨拶し
 
玄関からかえろうとしたその時。
 
 
一組の主役の女の子が、私を待っていてくれたのです。
 
 
「先生、このせりふの気持ちがどうしても分からない」 
 
そこについて一緒に考えて答えが出ると
また次。そして次。次々、次々。
 
 
これは何だ。
 
 
この子達は、もっと上を目指しているんだ。
いま成長しようとしているんだ!
 
 
家に着いて、もう一度、一組の先生にTEL。
 
「明日、もう一度だけ、自主的に行ってもいいですか。
今度は一時間ずつください。」
 
 
先生たちは話し合って下さったらしい。
なんと子どもたちも話し合ったらしい。 
 
実はあとから聞いた話だが、一組の何人かが、
私のコメントがショックで激しく落ち込んでしまったらしいのです。
もう一度私に厳しい事を言われたら、立ち直れなくなるかも
知れない、そしたら本番に間に合わないという意見も出たそうな。
 
担任の先生は生徒たちに判断を任せたという。
もう一度、私にきてもらうことができるけど、
決めるのはみんなだと。みんなが嫌なら断ると。
 
 
中学生にプロの目線から変に高いクオリティ要求されても困る、
一週間で出きることと出来ないことがある、
だけど、伝わらなければ、結果が出なければもっとやだ!!
 
そういう結論になったのだそうです。
 
 
彼らのプロ意識。
舞台に立つ以上、客を呼ぶ以上、
努力するだけじゃダメなんだと。
自分たちでそれを見つけた彼ら。
 
 
翌日の一組のみんな、ものすごい目でした。
「私たちは覚悟ができています。だから教えてください。」
 
と、総監督が言って、全員が一丸になったことが、雰囲気で分かりました。
 
それからの一時間は私に食らいついてくる生徒たちと
「まだまだできる、おなじとこからもう一度!」の応酬。
 
「家で、おじいさんの歩き方練習したんですけど、観てください」
「一瞬しか出てこない警官なんですが、どうしてもみてほしい!」
「僕はこういう気持ちなんだけど、どう言えば伝わるか分からない!」
 
全部みてあげられなかったけど、彼らはもう大丈夫。
必ず大変身します。しないわけがない。
 
 
舞台に対して責任を持ち、工夫する楽しみを知ったから。
 
楽しみだなあ、本番。きっと最高の瞬間がやってくると思います。
 
 
 
仕事を引き受けたことに対する責任を、
いちばん教えてもらったのは私かも知れないよ。
 
頑張ろうね。
お互いの舞台。
 



トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by 渡り鳥   October 16, 2012 19:17
良かったんじゃない?彼らの天井はまだまだ、遥か彼方のその先にある。残された時間と、その時間内で出来る事は決して比例しないんだから(笑)ましては中学生の若さなら。
2. Posted by naco   October 17, 2012 07:42
>渡り鳥様

ほんと、若いって羨ましい、、、
中学生が近くにいらっしゃれば実感済みでしょう!!
土日の本番は観れなそうなので、
密かに刺客を送り込み、ビデオを撮ってもらう予定です。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
::::最近のコメ::::