January 14, 2013

観劇レポウト「売春捜査官」

いいものを観ましたよ。

新潟の演劇人が総力を結集して作った、
Edge Bronx Theaterプロデュースによる
つかこうへい作品「売春捜査官」!!!


chirashi_min01


新潟で、これだけのものが作れるのだなという。

この演出の岡田くんという人、りゅーとぴあの制作さん
(弱冠24歳)なのですけれども、彼の人格による人脈結集術と
仕事で培った企画運営力の高さに拠るところが大きいんだろうと。

ファイナンスから集客、人事まで、事細かく心を配って準備したことが、
バラシと打ち上げにだけ参加した私にすら、よく伝わってきました。

面白いことをやろうとしているのに、企画運営つーの?
いわゆる制作力ちうのが乏しいなあ惜しいなあという公演が
たくさんありました。

新潟のアマチュア演劇界においてこのプロジェクトは、
ひとつのモデルケースとして残してほしいと思います。


つか作品、わたし初めて観ました。
これまで戯曲だけ読んで、「不条理系だ、苦手だ」と
思っていたのが、自分の想像力の乏しさによる間違った
印象だったことが衝撃でした。

つかこうへいは微塵も不条理系ではない。

強烈なメッセージと際立ったキャラ設定で、
分かりやすいど真ん中からちょっとズレタところを
ダイナミックに並走しておいて、最後にど真ん中を射抜く、

という系でした。

ちなみにこの売春捜査官は、有名な「熱海殺人事件」の
いちバージョンです。
面白いですね。つかワールド。もっと色々読みたいし、
こういう著名な作家の本に、新潟で色々な人たちに挑戦してほしい。

著名な本を演るということは、大勝負です。みんな知ってますからね。
より激しい批判にさらされる危険があるよね
今回だって、決して好感触の感想ばかりではないはず。

だけど、そのリスクをとることって、きっと作り手として
プレッシャーとの戦いの中で成長するエサになると思うんですよ。

出演者4名、この人たちの舞台は、お金を出す価値のあるもの。
「全力」を観た。新潟で初めて、舞台に立つ全員が全力でやる
芝居を観た、それがこんなにすがすがしい事だったなんて。

新潟に、芝居だけで飯を食ってる役者は居ない。
それより、食おうとしている人が居ない。
私はそれがかっこ悪いと思っていました。

だけど岡田くんは、そういう人が出てくるような演劇シーンを、
新潟に作ろうと言った。それが彼のミッション。
時間はかかるだろうけど、もう芽は出、始まっている。

打ち上げに参加してよかったな。
今回の興業が成功だったのは、決して舞台の上に乗ったものだけの
おかげではないことが分かったから。

これは制作力の勝利です。
そしてそれは新潟ではごくごく稀少なことであり、
いちばんいちばん、みんなが必要なスキルだと思うの。

大入り袋を関わったひとりひとりに余すところなく渡して
労をねぎらい敬意を表する、なんていうものを私初めて観ましたもん。


なんかねー。

もちろん私は制作が本業じゃないけれど、俳優が本業じゃないけれど、
クリエイターであるはずだったんですよ。

自分は怠けていたと思いましたよ。

全力を出しているのかとね。
問いました。


技術者として腕を磨いたり
恥ずかしくない仕事をすることを
ここしばらく、確実に忘れていたことに気づきました。


なんかね


そんな力を持った舞台でした。
惜しみない拍手を贈りたい。




でさ、もし岡田君がここまで読んだらね。
かならず次回作をやって、話題を作り続けてほしいのと同時に
あなたの制作力を、新潟市民に分配する企画をやろうよ。 

私の楽しい舞台基礎講座を、前座でつけてさ。 ね。



トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
::::最近のコメ::::