February 18, 2014

大渋滞の大冒険

普段雪が降らない土地に、雪が降っちゃいけない。
って本当に思いました。

なんと私、14日金曜の夜から実に51時間、
車内で過ごす羽目になったのです。


*****

この週末の大雪、降るなら、本当に新潟に降ってほしかったです。

60センチや70センチの積雪となれば、新潟市でも「大雪」だけど、
雪の扱いを分かっていれば、経済活動や日常生活に支障は出ないのです。

大型除雪車が夜中に一気に出てきて手際良く重要な道路を雪のけしてくれるし、
広い駐車場を持っている店舗は除雪業者を頼んで開店前に除雪し終えるし、
各家庭も玄関やガレージの前の必要な間口だけ、隣家に迷惑がかからない
ように、その後何度も積み上げる余地を残して雪のけをする。
 
家の屋根には適度な傾斜がついていて積もっても自然に落ちるし、
その落ちた雪が隣家の敷地に入らないように計算されて敷地外周より
ある程度の内側に家屋を建てるように決まっている。

ガレージや廂を支える支柱は積雪重量を考えた耐荷になっているし、
車には誰でも必ず鉄シャベルとスポンジワイパーを積んでいるし、 
11月になったらみんなが自主的にスノータイヤに履き替えて、
雪のけ用のプラスチックシャベルを玄関先に用意するものなのです。 


雪国が雪をモノともしないで生活をしているのは、
「慣れ」じゃなくて、完璧な「備え」があるから。


経験と危機感と道具を個々の市民が持っているだけではなく、
行政・産業のインフラや予算、建築物の構造などが根本的に違うのです。

それが無い場所に同じだけ雪が降ったら、即、大災害になるんだな。 
それを目の当たりにした、3日間でした。


*****


金曜日、東京ビッグサイトに出張があって、新潟から車で行ったのです。

当日日帰りする予定で、夜19時に作業を終えて外に出ると、雪。
新潟では珍しくない景色なので、おおごとだと思っていなかった。

でも新潟に向かって走り始めたとたん、道路の様子がおかしい。

雪、積もっている。そして、じゃんじゃん車がスリップしている。
げ!!そうか、この人たち夏タイヤで雪の上走っているのか…

走行しているうちに、新潟への高速道路、関越道が練馬から真ん中
くらいまで雪で通行止めに!げげーー!!

仕方なく新潟まで続く一般道、国道17号を北上することに。
しかし、既に東京都内から、滑って動けない車輛が続出。
大渋滞が始まっていた。

19時にお台場を出て、24時になっても埼玉に入ったあたり。
そのうち、ピクリとも動かなくなってしまった。
ラジオによれば、17号も落雪で塞がれてしまったらしい。
今日中には帰れないな…明日は午後から、新潟市で友人の結婚式。
午前中に着ければいいや、くらいに思って車内で仮眠。

しかし、なんとそれから24時間で、移動距離1キロメートル。
結婚式どころではなくなってしまった。

動けない24時間の間に降り積もって固まったガチガチの雪、
長時間のアイドリングによるガソリンの枯渇、
体調不良や子供連れなどで、車を乗り捨てる人が続出。

渋滞の列が進んでも、それらスタック車両が邪魔で動けない。
上り坂になっている幹線道路を、チェーン無しでスリップして
横向きになった大型トレーラーが塞ぎ、道路まるごと一本使えない。
疲れ果てた大型トラックの運転手が爆睡していて起きない。
トイレが無いから徒歩30分のコンビニまで歩いてゆき、
その間、渋滞の列の中で無人になる車両。

そんなこんなで渋滞は悪化の一途。交通情報を聞きあさっているうちに、
あっという間に次の日の24時になってしまったのです。

17号の膠着状態は解けず、さすがに2晩連続で渋滞泊は
神経が擦り減ってしまうので、ビジネスホテルを探して列を離脱。
このとき、まだ埼玉県深谷市。

結局ホテルはどこも満室でしたが、渋滞から離れると
寝ることに集中できます。セブンイレブンの駐車場で仮眠。

ガソリンスタンドも、トレーラーが到着できず売り切れになっている店舗が
多いというニュースを聞き、ガソリン節約のために暖房を切り、ホッカイロに。

凍える思いで一晩をすごしましたが、あたたかいカップ麺を食べられて、
近くにトイレがある場所に要られるだけで、絶大なる安心感がありました。
こんな感じで↓ 多くの車がセブンの駐車場で車中泊。

写真

とにかく除雪が出来ないので、コンビニの駐車場にも、軽自動車が入ろうと
試みてはことごとくバンパーを引っぺがされて満身創痍になっていました。 

二日目の朝を迎え、17号を諦めて別のルートで北上を始めると、
埼玉、群馬の市街地ではガレージやビニールハウスが残酷に潰れ、
シャベルを買えなかった住民たちがチリトリで除雪をする姿が。

除雪車の台数が足りず、おまわりさんたちが手作業で幹線道路を除雪。
2車線の道路をうまく除雪できず、どこもかしこも1車線になってしまう。
そこにスリップして乗り捨てられた車両があれば当然渋滞。


本当に、雪との共存は専門技能なんだなと、思いました。
気候条件が厳しい土地に住んでいる人間はそれだけで、
桁違いのサバイバル能力を培っているものなんだなということも。

イライラしないように、車内の雰囲気悪くしないように、
そして他の車や歩行者を気遣うように、こころがけました。
こういう非常時に、人間の真価が問われるし、本性が見えるものです。

ベテランの上司と二人で移動していたのですが、缶詰になっても
上司は一切イライラしないし、 素早い判断で道を譲ったりルート変えたりと、
ストレスを一切感じさせませんでした。大変尊敬しました。
こういう、本物のサバイバル能力を持った人間になりたいです。

紆余曲折あって、幸いにも知り合いに抜け道を教えてもらい、
無事に水上から高速に乗ることが出来、
お台場を出た51時間後の日曜日22時に新潟に戻ることができましたが、
さらに一日経過した現在も、関越道はまだ通行止めです。

ドライバーの方々は、車中泊が4泊目の方々も多いはず。
なんとか身体が無事で、乗り切ってほしいと思います。


雪に慣れていない地域の方々に分かってほしい事は、
夏タイヤでは、絶対に雪道は走れないということです。
スタッドレスを履いていなければ、すぐに走るのを止めて下さい。

そして、積もった雪は水ではなく、岩だと思った方が正解です。
積もったらすぐ、柔らかいうちに雪掻きをしなければ、
すぐに岩のように固くなり、そうなるともう人力では動かないし、
道路が除雪されないで固まると、四駆でなければ相当危険です。 

そして、雪はおもったほど簡単には、解けないのです。

知恵を分けあって、この大雪を安全に乗り切りたいですね。
太平洋側の皆さん、気をつけて。 日常が早く戻ることを祈ります。

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この記事へのコメント

1. Posted by ぺん   February 21, 2014 05:57
ホントお疲れ様でした。ノーマルタイヤは危ないね。雪をなめちゃいかん。地震の後も思ったけど、普段とかなり違う異常事態でも普段通りにしよう、またはしなきゃいけない、と、思い込んでる気がする、我々。なんとかなるよね、みたいな。そうなんかなー。
大雪のニュースはこちらでも話題になり、外国人にもよく聞かれたよ。ドーハも今年は雨が多い。おかしいな、世界の何処かにそのしわ寄せがあるんじゃないかな、、、
2. Posted by naco   February 21, 2014 22:21
>ぺん

ドーハからありがとう。
確かにそういう傾向かならずあるね、
先週その状況になったら分かったけど
無理に普段通りしよう、とする、というよりは
たいしたことないと思いこみたいんだよね。
これは、異常事態ではないから大丈夫だと。
短時間で解消するだろう、と思いたいというか。
実際そのときは、何時間、何日で元に戻るかは、
まったく分からないものだから…
でも、ちょっとして振り返ると、その思い込みに
よって初期行動が遅れているんだよね。
初期消火に失敗していらない被害が拡大してる。
パッと切り替えられるようにならなきゃいけないね。
それが勝敗を分けるときは必ずあるね。

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