March 05, 2016

裸押し合い祭

3月3日。

中越地方、浦佐。

日本三大奇祭のひとつ、
裸押し合い祭の開催日です。


浦佐はキッズミュージカルで通っている
魚沼市小出の隣町。

キッズのご父兄も多数参加するということで
ママたちに混ぜてもらって応援に行ったわけです。

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これが、想像を遥かに超える、超奇祭。
なんと1200年の歴史があるのです。

いにしえの征夷大将軍、坂上田村麻呂が
開いたという毘沙門堂。

そこに祀られている毘沙門天を
誰よりも先に拝む、というのが
押し合い祭の究極の目的なのだ。
なんたる浪漫!!!


夕方浦佐に着くと、すでにパパたちは
酒を飲んで身体を温めている最中。

学年ごとに秘密基地みたいな集合場所が
あって(いい大人が学年ごと、ですよ!)
そこで同期同士ワイワイやりながら
真剣勝負のスタンバイをするのである。


やがて日が落ち、
出番が近づいて来ると、
戦闘服に着替える。

つまり、晒と半だこ。
晒は肋骨を守るために締め上げる。

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そして時間が来ると、何箇所かに
分かれて指定されたスタート地点から
肩を組み、出発!!!

夜の闇の中に燃え上がる、
30kgの大ロウソクが男たちに伴走。

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「サンヨー、サンヨ」の掛け声と共に
町を練り歩き、毘沙門堂を目指す。

この日は屋台もたくさん出て
近隣の町からも見物客がたくさん来て
大賑わい。この行軍をみんなで応援。


闇に浮かぶ毘沙門堂の門前。
息を飲むほど美しく、
見たことないほど活気に満ちている。

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そしてここからが激しい戦い。

まず、雪の中、身を清めるため
凄まじい冷たさのうがいばちに飛び込む。

うがいばちとは、お風呂ほどもある
手水鉢(ちょうずばち)、
よく神社にあるアレ。
もちろん屋外であります。

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水の中にいる間、印を結びながら
毘沙門天に捧げる文言を唱える。

「オンベイシラマンダヤソワカ」
これ3回。震えて口が回らない。

そして本堂へ突進、あとは
お堂の奥の毘沙門さまに向かって
前の男どもを押しまくるだけである。


image


(この写真はにいがた観光ナビより)

地元の多聞青年団の男たちが、
ディフェンスをしている。
最前列まで来て、彼らに選ばれた
精鋭のみが毘沙門さまを拝めるのだ。

30分近くに渡って押している間、
青年団が投げる福餅や木札を取り合う。

「撒けよー、撒けよ」と男たち
「撒くぞー、撒くぞ」と青年団。

ちなみに木札には賞品か書いてあり
日用品やお宝が当たる。

わたしはパパが取った「しょうゆ」を
おすそ分けしてもらっちゃいました。
越のむらさき、だぜー!高級!

クライマックスが近づくと
またもや大ロウソクとともに、
騎馬戦態勢の一団が流れ込む。

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正直、ルールはよく分からないのだけど
とにかくこの雪と炎と人間が
本気でぶつかり合う光景は、異様。


異様に美しい。


男たちは身体が冷えるので、
溶けたロウを体にも頭にも塗りたくって
暖を取るのです。

凄まじいです。火傷はしないらしい。

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毎年毎年3月3日、曜日に関係なく、
この祭は開かれ、町の人たちは
この日のために2日前から仕事を休む。

そして仲間と再開し、酒を飲み
肩を組み、年に一度の勝負をする。
毘沙門天に見守られて。

こんな浪漫を初めて目の当たりにしたのです。


私の住む新潟市は、
古くから湊町でこのような濃い祭はなく
本当に、羨ましくなってしまった。

そして体験できたことを心から
幸せに思います。


ちょうど、町の活性化について考える
機会がこの前日にあって
自分なりの筋道が見えた気がしたんです

が、それについてはまた次回。



裸押し合い祭。


男子だったらなあという羨望と
男子じゃなくて良かったという安堵が
同時に押し寄せた夜でした。

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