September 2006

September 28, 2006

石垣人情記(四日目)

その日のスケジュールが決まっていない旅のいい点は
朝がのんびりなことだ。

朝8時半。
8人部屋で起きて、ぼーっとしていた。

すると、かなえママから電話。
「息子夫婦がきたので、一緒に島巡りをしよう」
ひょうひょうとしたかなえママの声。
いきますともいきますとも。
「じゃ、水着を着て、15分後に」
早い。さくさく準備して外に出たら、
となりの店のおばあが果物を売っていたので
スターフルーツ2個買う。
おばあ切ってくれる。

かなえママの息子夫婦はトシ君とカイちゃんといって
とっても元気で素直で気さくな二人で
旅人より3つも年が若い。
ママのお店のお客さんであるハジメさんの車で
ドライブ開始。

大変天気がよい。
バイクと違って、暑くない。
バイクと違って、景色を見る余裕が有る。
半日かけて、島の絶景スポットを回る。
特に美しかったのは

川平湾。

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そのあと、御神崎にて、シュノーケリング。
ここは砂浜からざぶざぶ入って行き、
遠浅の海をひたすら漂う感じ。
ここも珊瑚と熱帯魚がおそろしく綺麗だった。

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若夫婦はほんとにほんわかした仲のよい二人で
見ているこっちがしあわせだ

夜はさらにママの友達を呼んでごはん。

その席にて、
「明日、店で貸切パーティやるので、人手が欲しい」
とアンニュイに労働を求めるママ。
暇です。喜んで。
旅人、最終日は島のバーで
フロアレディをやることに決まったようだ。



そんな4日目。


【5日目に続く】

September 26, 2006

石垣人情記(三日目)

9月23日

いよいよ晴れた。

そんなこんなで、朝起きたら白保の宿の一室であった。
いつものくせで、6時半に目が覚めてしまう。
旅人がとことこ起きて下に降りて行くと、
店の兄ちゃんが、「ねえねえ起きた!!酒、強いなあ!!」と
げんきよく褒めてくれた。こっちでは「お姉さん」のことを
「ねえねえ」というのである。
兄ちゃんは「にいにい」である。

昨日一緒に呑んだ船長というのは、
この辺でシュノーケリング屋をやってる
ボートの船長さんで、
午前と午後に1ダイブずつ船を出すから、
旅人に来いと言ってくれた。

旅人は午前中はのんびりして、
午後の船に乗せてもらう。
ちゅら屋に行って、昼ご飯を食べがてら、
美矢と一時間くらいあそぶ。

13時半、モーターボートで、沖へ出る。
白保は青珊瑚で有名だ。
潜った。
シュノーケルも二日目になると、
あんまり海水を飲まなくなった。

旅人、息をのむ。


絶景。
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お写真、のほほんアジアさんより借用。


大感動。

船長は呑み仲間のよしみで格安料金にしてくれた。多謝。
(半額以下。)旅人はバイクで市街へもどった。

この日はラフテー(豚の角煮)を食べたかったので、
一人で居酒屋へ行き、泡盛とラフテーを食う。
さらに宿に戻ってオリオンビールを呑んでみた。
酒王国万歳。

のんびりとした三日目。


【四日目に続く】

石垣人情記(二日目)

9月22日

この日も曇り空だった。
使い方のわからないシュノーケルセットを抱えて
おそるおそる、文雄おじに会った白保の浜へ向かう。

果たして、おじたちは居た。


ちっちゃなボートに乗員は旅人を入れて5名。
漁師のイサムおじ。
漁師の息子。
一本釣り好きの百姓のおじ。
サザエ好きの百姓のおじ。これが文雄さん。


沖に出ると、みんなそれぞれの獲物をさがす。
漁師の親子はシャコ貝とり。
旅人はなんとなくシュノーケルセットを装着し、
みずあそび。天気が悪くてよく見えん。
後半はサザエとりを手伝う。

二時間後、シャコ貝は20個以上。
一本吊りは20cmほどのタイやハゼを10匹以上。
サザエは調子悪くて2個。あとはタカセ貝が4個。
ボートを浜に付けると、水際に30cmのボラが。
すかさず、漁師が投げ網で捕獲。
その場でシャコとボラをさばいた。
旅人はボラの返り血を浴びて、大興奮。
おじたちが、「ナナ予定ないなら、夕飯、食ってけ」

文雄おじはその日の収穫を漁師から買い取ってくれ、
白保のみんなが集まる居酒屋「ちゅら屋」の
オカンに頼んで料理してもらうことに。

白保は小さな集落で、住人はみんな親戚みたいなもの。
おじとビールを飲んでいると、白保のおじたちが
ぞろぞろ、ちゅら屋に集合。
ちゅら屋の娘、美矢がめちゃくちゃ旅人になつく。
半分くらい言葉がわからないが、
みんなで泡盛のむのむ。
ここで船長に出会う。
ちゅら屋のご主人は三線の名手。歌っておどりつつ、
結局24時すぎまで10人くらいで呑んで、
飲酒運転するわけにいかないから
「今夜は白保に泊まってけばいいさー」
宿泊。

これが二日目。



【三日目に続く】

石垣人情記(一日目)

9月21日

旅人、午前4時起床。
まっくらな中、思考開始されない頭で、
玄関に置いてあったシュノーケルセットの
バッグとパンツの入ったリュックを持って、
井の頭の6帖の邸宅を出る。
4時半に吉祥寺発やっと羽田についたのが6時10分。
6時40分、羽田から石垣に向けて、
ANAのちっこい飛行機が離陸。

るるぶを読もうとこころみるも、
速攻、就寝。

10時30分、気がつくと石垣空港に着陸。
やる気がないのではないかと思う程、
小さい空港である。
新潟市の万代シティバスセンターの方が
数倍でかい。

おまけに曇っている。

照明のねえさんの教えてくれた民宿は、
東京で何度電話をかけても繋がらず、
結局泊まる所も決めずに石垣入りとなった。

旅人、とりあえず市街地に向かうため
バスに乗車。
他にどなたも乗らない。
走り出したバス。しかし、窓から見える景色は
被災地。

17日に、超大型の台風13号が残した被害は、
ちょっとありえない規模であった。
まず、信号機が点灯していない。
沿道のヤシが根っこから抜けて倒れている。
車のフロントガラスがない。
家の屋根がない。


正直に心情を描写すると、
わたし何しに来たんだっけ・・・


とりあえず、石垣で一カ所しかない、
いわゆる「市街」で下車。
こんな被災地で、曇り空の下、
使い方の解らないシュノーケルセットが
そうとうずっしり重い。
泊まるとこ、どうしよう。
足もないし、どうしよう。
自転車かりようか。
ぐるぐる歩くこと30分。何もきまんない。

寂寥感を覚えた旅人は、しかし、
こういう状況には馴れている。
何をしたらいいか解らない時は、
一にも二にもなく、
メシをくうものだ。


しかし時間が早すぎてメシ屋がやってない。
ぐるぐる歩くこと30分。
さみしさ、MAX。

やっと一件の八重山そば屋を発見。
八重山そばとは、沖縄のソーキそばとおなじだが、
骨つき肉のかわりに豚の骨無し肉がのっている。
そうとうあっさりしててうまい。
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うまい。

にわかに戦闘意欲のわいた旅人は、
そば屋の隣にあった「素泊まり1800円」の
宿にとびこむ。

管理人、留守。
悪いけど、勝手に荷物置く。
どうやら8人の相部屋。
そしたら空いてるだろ、一人分くらい。

よし、ここから石垣ライフが始まるのだ。
とはいえ、何しよう。

フロントの前に、「レンタバイク、一日1000円」の
張り紙を発見。「けんたあやあ」という店らしい。
何でも良いけど安い。
とりあえず電話をかけてみる。
10分後、赤いバンダナをまいた妙にインパクトある
おじちゃん登場。これが健さんだった。

きけば、吉祥寺の老舗の喫茶店「多奈加亭」の
店長を10年も前にやっていたひと!!!
なんでこんなところに。

台風の被害が如何に酷かったかという新聞を
読ませてもらい、とんでもないところに来たことを知る。
電話が繋がらなかった民宿の一帯は、
いまだに停電中。島の半分がまだ電気復旧していないのだ。
こんな感じの被災地で、旅人は生まれて初めて
「原チャリ」というものにのった。

今日は天気も悪いし、海の潜り方もわかんないから、
とりあえず島一周、走ってみることに。
市街地は3分でとぎれ、あとはひたすら農道。
しかし道の両脇の電信柱は根元からぽっきり
折れて全部倒れているわ、
電線が歩道にのたうっているわ、
トタン屋根が紙くずのように木にひっかかっているわ、
とにかく被害ウォッチング。
雨に降られて、カッパ着てはしるはしる。

一周は140km程度だから、法定速度で行っても、
ものの3時間で一周だ。
途中、島の東海岸、白保(しらほ)という浜で
海を眺めていると、島のおじちゃんたちが
屋根のぶっとんだ小屋の前にいたので、話かけてみた。
「誰も海に入っていないけど、入れるんですか、ここは」
と旅人が問うと
「今日は天気が悪いから誰も入っていない。
お前、明日の12時半、ここに来い。海に入れてやる」
と言う。
これが文雄おじ
ほんとか嘘かちょっと判別つかぬまま、一周。

夜、宿に戻ったものの、どこで呑もう。
旅人、健さんに電話して居酒屋情報を聞く。

30分後、結局健さんを引っ張り出し、
行きつけのバーに連れて行ってもらう。
これが、かなえママのお店、swingだった。

この日はswingで島酒(泡盛)を楽しく呑む。
帰り際、ママが、「2日後、息子夫婦が来るから、
一緒に泳ぎに行こう」と誘ってくれた。
もともと計画ゼロの旅人、二つ返事で「喜んで」

島での人脈が全てできあがった、第一日目であった。



【二日目に続く】

石垣人情記(準備)

9月17日

旅人は浜松町の劇場でせこせこ働いていた。
旅人は3日後から1週間の休暇を貰う
予定になっていたのだが
しかし休暇前の仕事量は半端なく、
何も計画のないまま時間だけがすぎ、
気がつけばツアーも航空券も直前過ぎて
ギリギリのラインにきていた。

旅人はかねてより南の島へ行きたいと
思っていたが、3日後の航空券は極めて
値段が上がって居り、躊躇われた。

職場で旅人が仲良くしている照明さんが
ダイバーで、旅人に石垣を激しく奨めてきた。
おすすめ情報とか、泊まるべき宿とか、
全部上に書いてくれた上、
シュノーケルセットも貸してくれると言う。
ちょっとそのへんの旅行代理店に電話したところ
「ちょうど直行便に一席キャンセルでた」と言う。
とはいえ、高い。
往復で、航空券代だけで8マン強。狂。
しかし、めったに休みのないこの仕事。
旅人は「いく」と決意。


9月18日

翌日、照明のねえさんが
シュノーケルセット一式を持って出社。
旅行社に8マン支払い。
それにしても石垣になにがあるのかも
よくわからない。
調べる暇もない。
シュノーケルとかやったこともない。
日本海以外入ったこともない。
とりあえず競泳用水着をカバンに入れてみた。
パンツとはぶらし。
届いた航空券は羽田発6時40分。
早いじゃない。
るるぶ石垣を買ったものの読む暇もないまま
出発の朝を迎えたのだった。
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↑台所のシュノーケル足ヒレ。

【一日目に続く】

::::最近のコメ::::