January 2011

January 30, 2011

ねじれよ!

これは舞台関係者にしか分からないネタですみませんが


卒業公演の舞台監督をやらせてもらってる専門学校の
大道具の生徒から、オペラのバイト中の私に昨夜着信が。

私は他の現場だと言ってあるのにわざわざ電話してくるとは、
「誰か怪我でもしたのかな?!」と思い慌てて電話に出ると、


「ねじりバインド線の作りかた、教えて下さい。」




えーと……




「そんなの、バインド線をねじれよ!!」


……。

周りで聴いていたオペラのベテラン大道具さんたちが
「どういう状況?」ときょとんとしていました。

※バインド線とは、ビニール被覆の針金です。


ほほ笑ましいなあ。楽しすぎる。爆笑しました。


でも、分からないことを屈託なく人に聞くって、難しいものです。

私もわからなさ具合はおんなじだったのは間違いないけど
恥ずかしかったり悔しかったりして聞けないことがたくさんで

考えないで初めから人に聞いたらダメ。だけど
分からないことはちゃんと聞かなきゃダメ。の

バランスが難しいよなあ。
でも今のほうが分からないこと素直に聞けるようになったかも。

と彼らを見ながら自分も初心に帰って反省会。



良く聞いてみたら「バインド線をパワードライバーでねじるのを
やってみたかったけどうまく出来なかった」そうなので教えました。

今日顔を出したらねじりバインド線がたくさん作ってあって
また微笑んでしまいました。


今日は「もうお姉さんとかいう歳じゃないですよね」とか
言われるし。うるさいし。まだまだ負けねーよ。若者には。








January 28, 2011

椿姫

そんなアングラ演劇の合間を縫って、

県民会館で大道具のお仕事です。

石川県、金沢市、富山県、福井県、新潟県、兵庫県の
6地方団体が共同主催の珍しい開催形体。

嬉しいですよね。元気で。

大道具は「金沢舞台」という大手です。

金沢は伝統芸能が盛んで劇場がたくさんあり、
オペラ、バレエ、芝居、日舞など
色々な仕事があるんだそうです。


凄いな、金沢!!


オペラの仕事は初めてですが、イメージ通り

大道具が重い。

出演者が多い。


また視点が違って面白いです。
裏にいると字幕が見えないのが残念ですが。


January 25, 2011

次回作

さてやっと雪が融けてきたと思ったらまた積もりました。
今年はまだ一回しか転倒していません。


さて


専門学校のみんなと、卒業制作のために稽古してます。

インフルエンザとノロウィルスと大雪とで、1週間くらい稽古が
ストップしていて、ようやく本格始動したとたんに、もう佳境です。

今回は旧映画館(わたし世代はよく知っているはずの古町五番町
の、エレベーターがガラス張りの映画館ビル、「はり糸」の向かい)
を実習の拠点にしている映画と声優と俳優の学校なのですが、

その映画館の座席を半分とっぱらい、仮設の舞台と作業足場で
演劇公演をやろうという、かなり実験的な試みです。

今日は鳶さんに入ってもらい、イントレ(作業足場)を組みました。
これが照明バトンになるのです。映画館の天井って、高いんですよ。
今のところ普通に映画館の改修作業中にしか見えないのですが、
この鉄骨もむきだしで使用します。


ワクワクします。


熟成された、設備の整った大きな劇場での公演はやってきたけど
「劇場ですらない」場所を「劇空間」として使うのは、本当に昔から、
夢見てきたことです。唐組のように。

無理やりがいっぱいです。お金と前例がないと頭を使います。
シアターって本来そういうものでありたいと思っていて。
客と演者と空間、見せる意志と見る意志、アイデアがあれば、
どこでも成り立つという。

大学時代に親友の社長と二人で、「中央線の車内公演」を
やったことを思い出します。我々は吊革につかまりおもむろに
芝居をし、不幸にも我々の前の席に座ったご婦人が客でした。
「実験劇場」というタイトルで。

これがきっと新潟の演劇界の新しい一ページだと信じています。



私がこれまでに携わったことがないジャンルの、インプロビゼーション
(即興芝居)から作品を作っていくタイプの演出家さんなので、
最初はずいぶん驚きましたが、試行錯誤して、作品が変幻自在に
変わる振れ幅が非常に大きく、楽しいです。大変ですが。

作品はオリジナルですが、「ハムレット」のストーリーを
エッセンスとして用い、近代~現代日本の愛に飢えた人間関係を
コラージュのようにつなぎ合わせた、

と一概には言えない、要約のできない、また作り手側がしてはいけない、
独創的な視点であり演出です。

観る人は頭を抱えるかもしれない。
だけど、確固たる世界観がある。

と思うんだけど、その世界観をどれだけ共有できるかが、
俳優科の皆(ハタチ!)に求められている現在の課題。
若人よ、没頭せよ、と思いながら私も参考文献を漁ってます。


ご興味のある方はぜひ。100席と少ないですが、
客席の座り心地は保証します。


info::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


国際映像メディア専門学校俳優タレント科

卒業制作公演 2011

Contact : Hamlet, Seeking

≒ペン+枕+コンピュータ+煙草+水
+イス+扉+犬+仮面+街+人形+バーコード


【演出・脚本】
ナシモト タオ

【公演日時】

2月5
日(土)19:00
   6日(日)14:00
※開場は開演の30分前

【会場】
i-MEDIA 実習棟 Theater NEXTONE
(古町通5 アーケード内。旧シネマ1,2,3のあったビル)

【料金】
一般 500円、高校生以下無料


お問い合わせは私まで。

もしくは国際映像メディア専門学校0250-551-400に
お電話で「俳優科の卒業制作のこと教えて下さい」と。



居酒屋で最後に出されるお茶の量論

東京にいたとき、いかに交際費(お酒)にお金を使っていたかを
痛感する。新潟で暮らしていると、移動がもっぱら車であり、
仕事相手が小学生、中学生、高校生、専門学校生であり、
飲みたいときは自宅に山のようにある日本酒の一升瓶を武器に
「鍋をやるから全員集合」と言っていればよいのである。

その結果、全然お財布の中身が減らない。
ありがたいことである。


でもたまに外で飲みたくなるので、鍋仲間と化した新潟高校の
同級生H嬢(月2回の鍋会メンバー)と、久々に街に出た。


仕事と恋と芸術の話がすべて滞りなく出来る友人は貴重。
彼女は一級建築士を目指して試験勉強中。

またひとしきり仕事の話、恋の話、シェイクスピアの話に
花を咲かせた後、「最後にあったかいお茶ください」

のくだりになった。


出てきた番茶は、一合のおちょこに入っていた。
なかなかおしゃれでよい。

がっ…

1センチしか入っていなかった。
おちょこ一杯分ほどである。


「番茶にしては少ないだろ…」

「もっとなみなみと注げないものか」

「この量ならもっと他の容器でいいのに」

と、ぼそぼそ意見を並べていたのを、


この時点で全て聴かれていた。


でも仕方ない、明らかに足りない。
友人「すみませんがもう一杯下さい」


すると「はい、どうぞご遠慮なくお申し付けください、
たくさんありますので!」とやたら恐縮。

我々の不満げな意見を聴かれていたのかな。

しかしすぐに持ってこられた二杯めのお茶も、
やはり1センチしか入っていない。

中身を見て、「分かってない」という意味で
こらえきれず爆笑してしまう友人。

すると「よろしければもう一杯いかがですか!」
明らかにあわてている。

なんだそりゃ!!!


でも明らかに量としては足りないので、
「お願いします」と答えた我々。

そして次に出てきたお茶は、なんと一合なみなみと
注がれていた。

その上、「土瓶に入れてお持ちしましょうか?」
とまで聞かれた。


うーん。これは明らかに、厨房に逆切れされたとしか思えない。
「土瓶に入れて出すって言え!」とでも言われたのであろう。


うーん。


「お茶が少ないです」と面と向かって抗議をしなかった
我々が悪いのだろうか?その方が親切だったかもしれない。
けれども、お店で出された食べ物の量にダメ出しは、
余りしたくないのである。その店のポリシーであるだろうから。
足りなければ潔く、追加を頼むのが私は好きだ。

客が不満そうだと気付いた時点で、厨房にあてがわれた
少量のお茶(二回目)を出さずに入れなおすくらいの機転が、
サーブする彼にあってもよかったのではないかと思う。

その日はそれまでにも、客席が寒くて、
「暖房はもっとあたたかくなりませんか?」とか、
「ひざかけを貸していただけますか?」など
お兄さんに不満を話しているのだから、
我々がパーフェクトに満足をしていないことを推測して
お茶に関してはもっと臨機応変に動くべきだと思う。

サービス業は、商品それ自体に欠陥が無くても、
そこから減点方式で最終スコアが決まるものだ。

厨房は厨房で最善を尽くしているわけだし、
我々は対価に見合う最良のサービスが得られなければ
客として文句を言うし、
客室係は客室係としてプライドをもって両者をつなぐ、


皆が一生懸命にそれぞれの役割を演じて初めて、
おいしいご飯が食べられるのである。

January 21, 2011

見知らぬ、線上。

「私の居るべき場所は本当にいいのか、ここで。」

「私の進むべき道は、本当にいいのか、これで。」




交通量の少ない雪道で一番嫌なのは、

白線が何も見えないことです。


michi



まず、その道路が片側何車線かを知らなかったら
とりあえず左端を走りたい。

でも左端を走ると、雪をはねて歩行者にかける恐れが
あるので、左から2番目で落ち着きたい。

右折専用レーンがあるのか無いのかも分からない場合、
まあ2車線目が無難か。幹線道路なら。

しかし、どこからが2車線目かは、私のセンスにかかっている。

また、やむを得ず右折しなければならない場合、
どこまで大胆に右に寄っていいかわからない。

大胆すぎると正面から対向車が来たりする。


停止線が見えないから適当に止まると、
こちらに曲がってくる車が狭そうにしているので、
かなり間違った位置で止まったと推測できる。

停止線っぽく見えたものが横断歩道と判明したりする。
(その場合は出すぎ、時すでに遅し)

無秩序、アナーキー状態に陥った時、個人の判断能力を問われる。

サバイバル能力を、空間処理能力を、人間としての真価を問われる。



葛藤だ。
一瞬一瞬、葛藤だ。



雪道の運転で人は、常に自問自答を繰り返す。


「本当にいいのか、ここで。」




まあ車はほとんど居ないから危なくないけど。

シグナル、オール、グリーン。

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