February 2012

February 28, 2012

観劇レポウト「TeZukA」(テヅカ)

先日のロッキーホラーに続き、今月は二回目の観劇上京。
週末はまた弾丸東京ツアー(0泊2日)に行ってきました。

今週はBunkamuraオーチャードホールにてシディ・ラルビ・
シェルカウィ演出作品の 「TeZukA」(テヅカ)という
コンテンポラリー・ダンス作品を観てきました。

去年のうちからチケット取ってたんだよねコレ
森山未來様、ご出演。

これが、想像していたのとまったく違って、かなり意欲的な衝撃作。

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(写真はBunkamuraサイトより)

チラシがアトムだったので、鉄腕アトムのストーリーをダンスで
追っかける、キャラクターミュージカルみたいな感じ?
(アキバ系?)とぼんやりと想像していたのだ。

でもシェルカウィの作品は、こんなにもビッグネームだと知らずに
ふらりと入ったらやってたパリの公演(過去記事コチラ)で体験済み。
センスがいいのはよく知っているので期待して行った。


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(写真はBunkamuraサイトより) 


幕が上がると、中央に太陽を、もしくは日本国旗を思わせる一つの赤い丸。
鉄腕アトムの主題歌を奏でるオルゴールが鳴っている、
その隣で机に向かい、黙々と作品を生み出しているベレー帽の男性。

圧倒的な脚力でコミックを読みふける少年。(なんじゃそら)
その背後から、鉄腕アトムが登場する・・・。

と、この辺までは想像に難くなかったのだが、


フランス語で、東日本大震災、原発事故に言及したかと思ったら、
突然、すさまじい熟練度のカンフー。
へんな黄色いオバケがセクシーおねえちゃんたちとダンス。

バクテリアに関する考察を随所に挟みながら。


ねじ伏せられるように怒涛の一幕が終わり、ポカーンとしてしまった。
あまりにも創造と違ったので。
  
その作品の性格は、一緒に行った亜矢子の一言がまさに的確。
「これ、シンポジウムだよね」


「手塚治虫」という人物自身と彼の作品世界を、さまざまな方向から見つめ
映像を中心とした美しい表現手段で、シェルカウィなりの解釈を提示する。
ダンス作品ではなく、舞台上で巻き起こるシンポジウム、まさに。
 
今回の主役は、映像であった。

その映像の主役はアニメーションマンガではなく、
手塚治虫の書いたコマ割の枠線であったり、 
効果音の文字であったり、
写経した文字であったり、
 
それが上から10枚ほど吊るされた反物のような白布に、
浮かんだり、一緒に動いたり、ダンサーたちと一緒に踊ったりする。 

手塚漫画の登場人物たちに扮したダンサーは映像の一部になった。
動きが素晴らしく揃っているわけではない。
キレキレなわけでもない。

メンバーは多国籍。世界中から選りすぐられたことが伺える。
だとしたら、これはまたワークショップを重ねて作られたであろう作品で、
高い創造力を持った人々なのであろう。

中国語の男性シンガー、うまかったなあ。
森山未來様はダンスうまいなあ。今回は没個していましたが、
個々の演者を見せるわけではない作品づくりがまた、良かったです。

今回の公演は終わってしまいましたが、ご興味があれば
このあと世界へ出ていくようですので追いかけて下さい。
このロンドン公演の記事が分かりやすいように思います。 


映像、文字、肉体、音楽、物質。
舞台の言語にリミットなんかないのだなあ。
 

この舞台は、テクノロジーと人との対話だ。

そしてまさにそれが、手塚治虫だったのだ。


February 25, 2012

部屋は、屋根の下にある。

新潟の寒さはピークを越えたのではないかと思います。

というのも、雨が降ったからです。

新潟でこの時期に雨が降るということは、
気温が上がったことを意味します。

ここぞとばかりにガチガチに絞まった氷山を鉄スコップで
くずしながら道路に撒きました。こうしておくと、消滅が
早いので。向かいの奥さんと競いながらのスコップ作業。


さて、我が家の怪奇現象の謎が解けました。


実は


ひと月ほど前から、わたしが常駐している四畳半のふすまが
開かなくなって困っていました。

はじっこの方ではスイスイ動くのに、センターまで寄せてくると
なぜか突っかかって、10㎝ほど閉まりきらないのです。

とりあえず四季時代の癖でシリコンスプレー(潤滑剤)を塗布するも、
完全に上下に押しつぶされている様子。
上下も木材だし、ふすまも木材だから、湿気でどちらかが膨張したのかな?
でも湿気だったら梅雨の方がよっぽど酷かったんだけど、開閉してたし。

これはカンナをかけるべきか?!
しかし建具は大道具とは違って、ちょっと狂うとやり直しが効かないし。

ひとまず隙間風が寒すぎるので、またチカラワザで蹴りまくり、
なんとか閉ざすことが出来たので、廊下を迂回して隣部屋に、、
通行止めのため、アクセスルート変更。


そんな折り、この家で青春時代を過ごした叔父に会う。
「Nちゃん、どうだーあの家は。冬は大変だろう」
「いやー、毎日が拷問です。先日は玄関の格子戸があかなくなり、、、」
(過去記事「脱出ゲーム」参照のこと)

そして叔父の、衝撃の透視能力発言。


「扉が開かなくなった場所ない?」

叔父さん。なんでそれをー!
さてはどこかに監視カメラが、、

「あります。四畳半のふすまが開かなくなりました。」


そしてさらなる衝撃の事実。

「それね、屋根が落ちてんの」

ぎょえー!!なんじゃそら!でも確かに、雪がこんなに積もる前は
開いてたもんね。この怪奇現象は屋根に積もった雪の重みで、
積雪量に応じて毎年起こっていたのか。建設当初から。

その日帰ってさっそく、ちょっと離れてふすまを眺めてみると、
たしかに鴨居のセンター部分がハッキリたわんで落ちている。


しかも、天井を見上げてみると、
上に雨水が溜まったテントのように、ものすごく落ちている!!!!!


あまりにも怖いので、しっかり見ないことにしました。
つーか、屋根と天井の関係ってどうなってんの?!


ここまで落ちるんなら、ふつう、間に柱とか、要らないの?!
そして私は、この部屋で寝ていていいのか?!

私は、無事に春を迎えられるのか?!
次回、火曜サスペンス劇場「部屋は、屋根の下にある」最終回、
屋根積雪重量と気温上昇との、壮絶デスマッチ!!!!


※後日談

この話を、昔三条市に住んでいた大叔母に話したところ、
「ふすまが開かなくなったら屋根の雪下ろしをする」というのは
雪国の常識だと言うことでした。勉強になりました。







February 19, 2012

おくりびと体験(本編)

家の門の前が、佐渡金山のようになっています。

要するに門の前の雪を掻いても、掻いた雪を捨てる場所が
ないので、必然的に上に積み上げることになり、
門の左右に、V字の谷が出来てしまったのです。

自分の身長くらいまで雪を放りあげなければならず、 
全身運動!まあ朝の体操なので体にはいいかも。 


さて、おくりびと体験について書きたいと思います。


先週、大伯父が老衰で大往生にて亡くなりまして、
身寄りが無いためうちが主体で、仏教スタイルの葬式を出したのです。

我が家には仏壇があり、私が小さい時からばあちゃんが毎朝、
お経を唱えるのに付き合って、私も遊び半分でお題目を唱えたり、
お茶や線香を上げたり、盆暮れ正月の仏壇やお墓の世話などで
この世代にしては、仏事や法事に全然抵抗がないのですが、
 
納棺というのは初めてしました。


「おくりびと」で一躍有名になった職業ですが、これは面白かった。

 
今回お世話になった納棺師さんはベテランで、 
「納棺という儀式は、綺麗に飾ることではなくて、長年使われた身体に
対する、お疲れ様という慰労と感謝を表すのが目的です」
と言って始まった、約1時間の 心温まる体験となりました。 


まず、仏教の考え方では、人間は死ぬと極楽浄土へ向かうのですが、
それまでに山に登ったり、川を渡ったり、49日もかかるトライアスロン的な
大冒険を制覇しなければなりません。 

なので、「死に装束」とは、お遍路さんの旅支度そのままなのです。


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 関東地方では三角の布のついた頭巾を付けるようですが、
新潟では上杉謙信のように、髪を隠して「出家」を意味する白布を巻くようです。
 
「経カタビラ」は、本来は墨でお経を書いておき、向こうでの旅の間に、
悪い奴から身を守るための武装服。

首からはポシェットが下がっており、中には三途の川を渡る際に
必要な船賃が入っています。

他にも、旅の間に食べるおにぎり、本もすぐ読めるように手元に開いて入れ、
万全の態勢で旅立って行きました。49日、ガンバッテほしいと思います。


「おくりびと」では納棺師が全部やっていましたが、
われわれの納棺師さんは全部手伝わせてくれました。
みんな、故人の手を取り足を取り、せっせと旅支度をしました。
96年使った手足に、お疲れ様!と言いながら。 
 

最近、若い世代は「宗教離れ」と言われます。
無宗教や、信仰心が薄いこと自体は別に問題ないと思いますが、

子供にもこういう体験はさせてあげたい。

死ぬことや死んだ人は全然気持ちが悪くないし、輝いているということ。
一生懸命生きた人の死に際を、大切に思ってあげられるようになれば、
生きることにもっと感謝して、残った者としての責任感出てくると思います。

あの世とこの世は繋がっている。 生きている自分たちにとても近い。
その境界を越えることは、そんなに特別なことではない。
ただ、順番に、繰り返していく。お疲れさまと言って送り出す。

そんなことを考えた一週間のおくりびとでした。

February 18, 2012

おくりびと体験

わたしの一日は、雪掻きに始まり、雪掻きに終わる。
いつになったら減るんでしょうか。この雪は。

せっかく今週のあたま、晴れが続いて、固まってた雪が半分になった、
アスファルトも見えてきた~~と喜んでいた翌朝のドカ雪。

「今日は照明のバイトだ!」と勇んで玄関あけてから、
門前の雪をかき分け、車庫の前をかき分け、車を出すまで10分。

毎日同じ家なのに、毎日がフロンティア。毎日がパイオニア。
(正確に言うと、朝家を出るときパイオニアして、帰宅時またパイオニア)

先週まで、中学の時から履いている長靴を使用していたのですが、
「このままでは一年のうち2か月をどうでもいい長靴ですごすことになる」
と気づき、冬のオシャレとして奮発してムラスポでSORELを買ったので、
それが活躍していることだけが嬉しいことです。

まいりましたて!!


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さて、今日は「納棺」体験について書こうと思ったのですが、
雪を掻きすぎて疲れ果ててしまいましたので、また今度にして、

豪雪地帯の謎についてお話します。


いったい新潟人は、冬場の体力をこれだけ雪掻きに取られて、
なんで経済活動が滞らないの?!

だってサラリーマンの皆さんなんて、
冬場だって夏場と変わらず9時5時で出勤しているとすると、

まず家を出てから出社まで平均1時間は夏より長くかかり、
出社後に1時間近くお客様駐車場の雪掻きして過ごして、
退社から帰宅までもまた1時間プラスな上、
雪道の運転は2倍神経使うし2倍時間かかるし、
自分も奥さんもいつもの2倍疲れてイライラしているし、

これで一体どうやって、他の時期と同程度の経済活動できるの?!


本当に、新潟人は謎である。




February 14, 2012

逝ったり来たり

ふた現場かけもちしているところに、親戚のおじちゃんが亡くなって、
てんやわんやの鈴木です。 更新頻度が落ちてすみません。

まさしく新潟市内を西の果てから東の果てまで、行ったり来たりしています。
稽古の昼休みに納棺したりしています。


鈴木の血筋は長寿の家系で、おじちゃんは96歳。
またしても大往生でお祝いムードです。

じいちゃんの弟なのですが、
じいちゃんが死んだ時は舞台の本番があり、
死に目に立ち会えず苦い思いをした分、
今回のおじちゃんはしっかり送ってあげようと、

from 病院 to 葬儀場の搬送から、
納棺、通夜、告別式、火葬場までしっかり面倒を見ました。

 
病院からストレッチャーにおじちゃんを乗せて搬出の際、
ストレッチャー押しを手伝ったのですが、葬儀場の方に、
「看護師さんですか?ストレッチャーの扱いが慣れていますね」
と言われ、

「いや、看護師ではないのですけど、
キャスターのついた大きなものを押すのに慣れています」
と答えたところ、そうですか~と言いながら首をひねっていました。
 

別れは悲しいものだと思っていましたけど、
この年になると何度も経験してきて、

しっかり送ることが故人への感謝であり、
次の世代に任せよと言って安心させてあげることが
大事なんだなと思えるようになりました。


そんなわけで、出棺してきます。
また、続きは後で。


::::最近のコメ::::