January 2013

January 30, 2013

ブログを書くということについて。

今日は精神論。


なんだかいつの間にか、自分の勝手な思い込みで
仕事の話や、舞台の話なら記事にする価値あるかなあと
ネタを取捨選択していたんですね。

最近、どうも舞台について書くことが無いなあ
もういっそ、無期限休筆しちゃおうかなあ

だいたい私がホームページを始めた2000年あたりというのは、
一個人が自分の意見を、www上で発表できることは稀でした。

それが10年経ってみたら、facebookやtwitterで、
コーヒーショップに並んでいる間も、運転中でも、トイレの中でも、
好きな時にどんな希薄な内容でさえ、世界に向けて発信できる。

もう私がわざわざブログを維持して情報を発信していかなくても
誰の手にも暇つぶし道具はあふれているのだから、別にいいじゃん、、、


なんて考えて、ハッと気づいたのであります。

このブログ、別に誰に頼まれて寄稿している訳でもないのです。
誰かにとって有益な情報を流す理由も意味もないのです。


わたしが、文章を書くのが好きだから書いているんでした。 


だから、書きたい内容を書きたい文体で、書けばいいのです。
私の、自分の、精神の安定のために書いているのだから。

なんてゆー、ちょー当たり前のことに思い至ったわけです。



わたしはtwitterは1カ月経たないうちにやめてしまったし、
facebookも本当はとても面倒くさくて、自分ではあまり投稿しないし、
でも世間に置いて行かれたくなくて、なんとか暇な時に読む程度。

でもそれとブログは根本的に意図が違うのだ。
それを忘れて、時代の波に飲まれて、なんて軽々しく
言葉を発信していたことだろう。


なかなか、人生は思うように行かないことが多いです。


けれど、私はまいにち、感動に出会うために歩いています。
そして、まいにち必ず、感動に出会います。

今の生活は、とても素敵です。辛いこともあるけど楽しい。
それを、誰かに紹介して、ほめてもらおうとも、羨んでもらおうとも、
慰めてもらおうとも、思わないのに、なぜ筆を取るかというと、


私は、文章を書くのが、好きだから。
言葉を、並べて、飾って、取っておくのが好きだから。


数ヶ月前、このブログを更新すると、facebook上に更新情報が
アップされるというサービスに登録して、一時的に訪問者数が
急上昇したのですが、なんだか物凄く違和感、というか嫌悪感を感じて、
3回ほどでやめました。

その理由が、今わかりました。
興味の無い人に、押し付けてしまうからです。
そして、商業的に、広告的になってしまうから。

人と繋がるためのツールとして、であれば、ブログはfacebookや
twitterと変わらないSNSの一端で、実際そういう使い方もできます。

でも私にとってのここは、作品を生み出すフィールドなのです。
私にとって文を発信することは、コミュニケーション以上のものです。


図書館で、誰かが、私の本を手にとって、
こんなことを考える暇な作家もいるのねー

なんて

ふふふ


それを目指しているのでした。

だからますます、内容はくだらなく自由奔放になるかもしれませんけれど
偶然手にとって下さった方のお酒のおつまみになったら、
もちろんそれを後から知ったら嬉しいですけど、

わたしの精神解放の場をいましばらくここに置いておきます。


そして、初心に帰って、もっと言葉を大切に扱います。

情報の、量と速度ばかりが途方も無く増えていく世の中に、
いまだに馴染めずに、いるのです。

20060501_85608


この写真はね、わたしが2004年にまだ画素の粗い、
味のある携帯カメラで撮影したものです。
こんな小さい写真でも、ウェブへのアップロードは非常に手間のかかることでした。

つまり、写真に対しても同じです。あ、でもこの話はまた今度。
長くなりそうだから。2004年当時の写真集。ご興味があれば。

暗室で、一枚一時間くらいかけて、写真を現像していたなんて、
今では夢のようですけど、わたし、以前は現像も自分でしたんですよ。

その行為と、今、携帯で撮った写真をfacebookへUPするのは、
根本的に何もかも、違うっていうことなんです。

そういうはなしです。
おばーちゃんみたいだね。


January 23, 2013

観劇レポウト「ゲキシネ・髑髏城の七人」

渋谷で新感線を観た翌日、新国立劇場で長塚圭史の
音のいない世界で」を観ようと思ってわざわざ一泊したのに、
タッチの差で、私の前で、当日券が売り切れてしまいまして。

通勤ラッシュの電車を厭って15分、出発を遅らせた私が悪いのですね……
人生の勝敗って、そういうところで出るのですよ。

しかし、ピンチはチャンスに変えねば女が廃る。
ということで、面白そうな昼公演が他にないかと、検索検索……


あった。ゲキシネで髑髏城の七人。これ、観たかった!!


で、結局また新感線をみることに(!)。

ゲキシネとは、新感線の舞台公演を撮影・編集し、映画館で上映
するという企画。大型演目はたいていゲキシネ化されています。


髑髏城の七人は、完全ないのうえ歌舞伎形態で、歌いっさいなし。
脚本と俳優を大胆に変えながら、7年ごとに再演を
繰り返している、大ヒットレパートリーなのです。

こちら、公式サイトとなってござる。

dokurojyoshitinin

時は戦国、豊臣政権が覇権を極めていたころ、織田信長の残党で
ある関東髑髏党の最後の戦いを描いた歴史活劇。

前回は市川染五郎が主演だったのですが、今回は若手の総力戦。
小栗旬、森山未來、そして早乙女太一。全員デキますからね~~
立ち回りシーン、素晴らしかったですよ。私の中では前回を超えました。

特に早乙女太一の立ち回りは今までに観たことない、
半分舞っているようで、柔らかさとキレのある、美しい動きでした! 

それと、この作品の大きな見どころとなっている、刀鍛冶と剣士の
二人三脚の千人斬り(刀を研いでは斬り、交換して研いでは斬りを繰り返す)
も相変わらず惚れ惚れする練習量でした。小栗旬、勝地涼みごとです。


大きくなってしまった新感線、もしかしたらもう劇場で観るよりも、
シネマで観た方が、この人たちの趣向と迫力が伝わるかもしれない。

チケットが他の映画より若干高くて2200円。

それでも新感線の舞台を劇場で見たら12500円かかるのだし
DVDを買ったら5000円かかるのだから、それを考えたら、
もしかしたらこれがbest choiceかもしれません。

新潟でも見れるシネ。

実際、12500円出した前日のオーブ公演よりも、新宿の映画館で観た
この髑髏城の方が、よっぽど満足しました。

大きくなるって、なったらなったで大変なんですな。
でも新感線の、このメッセージ性とか意義とか追求せず、
ひたすらエンタテイメント性に拘る姿勢が大変好きです。

これからも応援したい。




January 20, 2013

観劇レポウト「五右衛門ロックⅢ ZIPANG PUNK」

ご無沙汰しておりました。

先週は久々に東京に観劇に出ました。
劇団☆新感線の新作を観にです。

あの、東京初雪の翌日で、都内の交通がマヒしている日にです。
これが大変でした。高速バスで行ったんですが、
「都内に近づくと高速出口まで3時間の渋滞、
その後、料金所出てから池袋まで3時間」
ってなんじゃそりゃ!終演してるわ、そんなんじゃ!

というわけで、渋滞が始まる手前の川越で降り、
電車で渋谷を目指しました。おかげで余裕を持って到着。


五右衛門ロックⅢ、ジパングパンク。

images

今回は2008年に一本目をやったロックミュージカル
「五右衛門ロック」の3本目。
当時の観劇レポウトはこちら。 
できたてほやほやの、渋谷ヒカリエ、東急シアターオーブにて。

シアターオーブ、ガラス張りのスンゲエ都市劇場でした。
これが公式サイト

超大型ミュージカルの出来る劇場なので、とにかく客席が多い。
1階席、2階席、3階席まであって、3階席などはかなりの高所から
見降ろす形の、ウェストエンドやブロードウェイみたいな高層構造。

「3階席からだと、舞台がかなり遠い、双眼鏡で観るべし」みたいな
レビューが多かったので、頑張って当日S席を取りました。
2階席の4列目、それでもかなり上から目線で、遠い印象。 

出演は古田新太、橋本じゅん、高田聖子、粟根まこと、(劇団メンバー)
三浦春馬、蒼井優、浦井健治、高橋由美子、村井國夫、麿赤兒(客演)。

この豪華な客演陣が売りですけれども、
すべての人にソロ曲が数曲あり、歌がやたら多いのは疲れました。
シアター側からの要請もあったのかもしれませんが、
いつもより多く歌っておりました。

そしてやはり舞台が遠すぎて、マイクで拡声されすぎて、
多くの客席からは誰がしゃべっているのか、判別できない。

やはり芝居はもっとライブ感が楽しめないとつまらないです。
音も大きすぎたし。

舞台装置はまた映像を駆使した豪華なものでしたけど、
床が金蒔絵の雰囲気をだそうとしたのか派手な絵柄で、
これが派手な衣装とケンカしてしまい、上から見下ろすともう。

ちょっとどれも過剰すぎて、残念でした。
でも巨大なセットが上から横から、出たり入ったりしていたので、
きっと袖の収容力は豊富な劇場なんだろうな!
でも渋谷だから搬入搬出は大変なんだろうな!

などと想像しながらの、シアターオーブ初体験でした。


January 14, 2013

観劇レポウト「売春捜査官」

いいものを観ましたよ。

新潟の演劇人が総力を結集して作った、
Edge Bronx Theaterプロデュースによる
つかこうへい作品「売春捜査官」!!!


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新潟で、これだけのものが作れるのだなという。

この演出の岡田くんという人、りゅーとぴあの制作さん
(弱冠24歳)なのですけれども、彼の人格による人脈結集術と
仕事で培った企画運営力の高さに拠るところが大きいんだろうと。

ファイナンスから集客、人事まで、事細かく心を配って準備したことが、
バラシと打ち上げにだけ参加した私にすら、よく伝わってきました。

面白いことをやろうとしているのに、企画運営つーの?
いわゆる制作力ちうのが乏しいなあ惜しいなあという公演が
たくさんありました。

新潟のアマチュア演劇界においてこのプロジェクトは、
ひとつのモデルケースとして残してほしいと思います。


つか作品、わたし初めて観ました。
これまで戯曲だけ読んで、「不条理系だ、苦手だ」と
思っていたのが、自分の想像力の乏しさによる間違った
印象だったことが衝撃でした。

つかこうへいは微塵も不条理系ではない。

強烈なメッセージと際立ったキャラ設定で、
分かりやすいど真ん中からちょっとズレタところを
ダイナミックに並走しておいて、最後にど真ん中を射抜く、

という系でした。

ちなみにこの売春捜査官は、有名な「熱海殺人事件」の
いちバージョンです。
面白いですね。つかワールド。もっと色々読みたいし、
こういう著名な作家の本に、新潟で色々な人たちに挑戦してほしい。

著名な本を演るということは、大勝負です。みんな知ってますからね。
より激しい批判にさらされる危険があるよね
今回だって、決して好感触の感想ばかりではないはず。

だけど、そのリスクをとることって、きっと作り手として
プレッシャーとの戦いの中で成長するエサになると思うんですよ。

出演者4名、この人たちの舞台は、お金を出す価値のあるもの。
「全力」を観た。新潟で初めて、舞台に立つ全員が全力でやる
芝居を観た、それがこんなにすがすがしい事だったなんて。

新潟に、芝居だけで飯を食ってる役者は居ない。
それより、食おうとしている人が居ない。
私はそれがかっこ悪いと思っていました。

だけど岡田くんは、そういう人が出てくるような演劇シーンを、
新潟に作ろうと言った。それが彼のミッション。
時間はかかるだろうけど、もう芽は出、始まっている。

打ち上げに参加してよかったな。
今回の興業が成功だったのは、決して舞台の上に乗ったものだけの
おかげではないことが分かったから。

これは制作力の勝利です。
そしてそれは新潟ではごくごく稀少なことであり、
いちばんいちばん、みんなが必要なスキルだと思うの。

大入り袋を関わったひとりひとりに余すところなく渡して
労をねぎらい敬意を表する、なんていうものを私初めて観ましたもん。


なんかねー。

もちろん私は制作が本業じゃないけれど、俳優が本業じゃないけれど、
クリエイターであるはずだったんですよ。

自分は怠けていたと思いましたよ。

全力を出しているのかとね。
問いました。


技術者として腕を磨いたり
恥ずかしくない仕事をすることを
ここしばらく、確実に忘れていたことに気づきました。


なんかね


そんな力を持った舞台でした。
惜しみない拍手を贈りたい。




でさ、もし岡田君がここまで読んだらね。
かならず次回作をやって、話題を作り続けてほしいのと同時に
あなたの制作力を、新潟市民に分配する企画をやろうよ。 

私の楽しい舞台基礎講座を、前座でつけてさ。 ね。



January 10, 2013

新春 舞台基礎講座

気づけば2年以上、お世話になっている東区市民劇団の皆さん。

私が新潟に来て仕事が無くクサクサしてたころ、こちらの演出家である
斉木としや先生(もと劇団四季!)に、「稽古場に遊びにきなよ~」
と励ましつつ声をかけて頂いたのが始まりでした。

東区市民劇団は、市民で作るミュージカル劇団。

とはいえ、もともとお芝居をやっていたメンバーも多く、
セミプロ級と新人さんが和気あいあいと稽古をする、
民間主導の劇団の中では稀有な存在感を放つ団体です。

私はいつも稽古にべったり居るわけではなく、
ホール公演の本番周辺だけ出てきて、皆さんが慣れていない
劇場周りのお世話だけする

というガミガミおばさんだったわけですが、

毎回公演の舞台稽古のたびに、
「自分の出番の前には、袖中で待っていてくださーい」とか、
「予定表に書いてある集合時間になったら、集合してくださーーい」とか、

余りにも基本的なことを、怒り続けていることに気づき、
これはこの人たちの意識が低いからというより、
劇団というものが何なのかを、誰からも教わっていないのではないか、
よく知らないから、間違えて当然なのではないか!
ということを感じていました。

で、きっと同じことを考えていたのであろう、斉木先生から、
「お正月に舞台基礎講座をよろしく」というオファーがあり、
とりあえずいつもの主力15名の皆さんが出席し、開講とあいなりました。


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参加者は、10代~60代までと幅広く、「まずは基礎の基礎」と
銘打って、ヒト、ジカン、カネの三軸で劇団活動を解説しました。

穴埋め式で、劇団にいる役職を答えてもらいましたが、
スタッフにはどんなセクションがありますか?との問いに、
「ぶたいかんとくと、照明さん、、、」くらいしか出てこない。

待て待てい!まだまだ、たくさんの仕事がありますよ!

でも確かに、俳優の彼らがスタッフワークを目にするのは、
制作さんの仕事を除いては、劇場に行ったときだけ。
しかも劇場に行っても常に時間がなく、慣れない段取りを
覚えるのに必死で、周りの人の仕事を見る余裕はないのが
実情といえばそうだよなあ。
 
「あ、衣裳さんね!」
「あ、映像さん!」

誰かがなんとなくやってくれていると思っていた仕事が体系的に
見えて、皆さんの目からボロボロとうろこが落ちていたようです。

時間の説明では、発案から、劇場さがし、オーディション、
稽古、仕込み、舞台稽古、初日、千穐楽、解体、打ち上げまで
どういう意図で行われるのかを説明。

さらにそれに絡めてキャッシュフローの説明。
演劇がなぜ、儲けられない産業構造か?!と最後のほうは
既に愚痴。 みなさん資金繰りの大変さを理解してくれたようで、
制作側にとって大きな前進。 
 

最後に、 劇団員は全員が、船の乗組員であるという話をしました。
市民劇団でやっていると、どうしても演技するのが楽しくて、、、
という方向に、参加者の意識は行ってしまうものです。

そこがなければ続かないのは確かなのですが、
それは船にとってはオールで漕ぐ、という、作業のひとつ。
でも、本当は、

「海賊王に、おれはなる!」という、誰かの熱い想いを叶えること、
船が目的地に到着することこそ、漕ぎ手にとっての漕ぐ理由。
それが感じてもらえたら、一糸乱れぬオールさばきとなり、
七つの海を支配することができるのだ!


なんていう話をして 1時間半が終わりました。
皆さんの反応がよくて本当に面白かったなあ。
講師冥利につきるわー。facebookで写真をあげたら、
一般の人からも参加希望が来たりしてました。

次回がありそうなので、今度は一般の人向けに、
もっと演劇を見たくなるレジュメを切ろうかな ♪

::::最近のコメ::::