March 2015

March 30, 2015

サバンナです。公園。

これを書いている本日、実は千穐楽が終わったのですが
最後の4公演がバタバタとしており、各地のログをあげる
暇がありませんで失礼しました。

自分で始めておきながら。

ニューヨークのあとは4都市とも初めての都市でした。

ニューポートニュース(ヴァージニア州)、
そこから実に10時間近いバス移動でサバンナ(ジョージア州)
同じ州の中を移動してアトランタ、アセンズでおしまいです。


街が特に印象に残ったのは、南部の古都サバンナです。

1700年代前半に、アメリカで最初の計画都市として建設された
街並みは、緑の豊かな小じんまりした四角い公園が
街中に規則正しく25個くらい配置されていて、

この公園のかわいいこと。

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映画フォレストガンプ、ご覧になったことありますか?
ジャケットにもなっている、現在のガンプが思い出話を
話すあの公園、あのベンチが、サバンナの街にあります。

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 ↑ このシーン。

「チッペワ・スクエア」という大きめのスクエアでした。
ホテルから近かったので、出発の前にササっと散歩して
見て来ました、この映画のまま、とても可愛い安らかな公園。

ベンチは現在は博物館に保存されているようで
ありませんでしたが…

フロリダのすぐ上なので、とても暖かくて日中は27度くらい。

南部の町らしく、夜はサクソフォンやトランペットの音が聞こえ、
道でちょっと地図を広げていると、「お困りですか?」と誰かが
必ず声をかけてくれる、親切で人のよい「サザンホスピタリティ」
に溢れた町でした。

特に、観光名所があるわけでもないので、
絶対旅行では来なかった街だと思います。

こういう素敵な街に出逢わせてくれたことが、
今回のツアーの非常に有り難いポイントのひとつ。


 

March 27, 2015

ニューヨークです。遭遇。

ニューヨークに6日間滞在し、3公演行いました。

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ニューヨーク公演は、 鼓童が長年ずっと来たかった
憧れの劇場BAM、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックの
オペラハウス。なんと全米で一番古い劇場なんだそうです。

まさに殿堂。
 
この度やっと願いが叶って、ようやく呼んでもらうことが
出来ました。関係者の興奮はひとしおでした。 

アメリカで公演をやっていると、都市によって全然お客さんの
反応が違います。日本で言う「県民性」というやつか。

大きく分けて二種類。

一つは、まったく新しい物に触れて、聴き入ってくれるタイプ。
もう一つは、もう最初から、楽しむ気まんまんで来てるタイプ。

ニューヨークのお客さんはどちらか。


反応はどちらのタイプとも違いました。

ニューヨークの、しかもBAMのお客さんは、音楽に造詣が深く、
和太鼓のことももしかしたら知った上で、じっくり聴いているのです。

なので、余計なところで興奮した歓声や拍手は来ません。
ここで拍手はしないで!っていう所では絶対に拍手は来ない。
必要な余白とか余韻とかを、すぐさま理解してくれるお客さんでした。

これには、こちら側が脱帽です。


また、BAMにはオペラハウスのほかに二つほど規模と用途の違う
劇場があるのですが、通りの向かい側のBAM Harvey Theaterに
シカゴ修業時代に一緒に仕事をした仲間の音響さんが、
今回もまた音響さんとして来ていたのです!

ばったり!!!リンジー。

リンゼイ


他にも、大学で同じゼミだった友人と旦那様が見に来てくれたり、
同じシカゴの仕事で一緒だった女優さんが今はニューヨーク在住で
こちらも旦那様と見に来てくれたり、

色々思いがけない人たちに再会ができました。

意外と同じ通り沿いに知り合いが居たりするのがニューヨーク。
よくあることなんだそうです。この街では。


誰も彼も10年ぶりだったり12年ぶりだったりしましたが、
当時のままの気の置けない空気と、新しい視点。
楽しかったです。


あまり、フリータイムは多くは無かったけど、
3年前に来たことがあるので地理と歩き方は把握しており
ブロードウェイは仕事終わりに走って観に行って、
2本見ることが出来ました。

「アナ雪」のエルサで時の人となったイディアナ・メンゼル主演の
「IF/THEN」。これにはRENTの演出家やキャストが!

それに子役がめちゃめちゃ可愛い、親友蘭子も奨めてくれた
「Matilda(マチルダ)」。舞台装置も超かわいい。

どっちも良かった。今回は2本で満足です。

仕事前に、拡張工事の進むハイラインをお散歩して、
友人夫妻と一緒にバードランドでジャズを聴いて、

あとはのんびりしてました。


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大都市ではついつい、忙しく予定を入れまくってしまいがちですが
今回はとにかく終盤のヤマだったので体調管理優先で
頑張らないニューヨーク。これはこれで良かったです。


残るは4都市! 

March 20, 2015

シカゴです。懐古。

2002年、2003年に、舞台の仕事のインターン生として
武者修行をしていた街、思い出のイリノイ州シカゴ市です。

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よく映画なんかでも出て来ますが、街なかを走る高架電車
「CTA」が名物です。ホテルはこの線路のすぐ脇で、
電車の走る音で目覚めるという贅沢な朝でした。

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オフが一日あったので、思い出の場所を色々
散策できました。

住んでいたアパート、お気に入りのカフェ、
研修先の劇場、アルバイト先の古着屋。

それに、通い詰めていたブルースクラブです。


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これは研修先だったAmerican Theater Companyという
小劇場です。現在はスタッフが全員入れ替わってしまい
外側だけが当時のままでした。上演中で入れず。


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ブルースの有名店、ブルーシカゴ。
この日のDIVAはネリー・タイガー・トラビス。
狭い店内の全てがビリビリ震える物凄い歌声でした。

彼女は12年前にも歌っていたのを覚えています。
当時は金髪美女でしたが、今や貫禄が凄い。


地図がなくても、周りの景色でなんとなく12年前の
記憶が呼び戻されて、全ての場所に迷わず到着できました。


そして、たくさんの友人たちに再会できました。

それぞれ、結婚していたり、4歳の超可愛いジュニアがいたり、
新しい仕事を始めていたり、 シアターを続けていたり、いなかったり。

でも外見は誰も変わらず。優しさも変わらず。
この街で学んだことを、仕事にして再会できたことが嬉しかった。

一つの夢だったことが叶って、自分の中での一区切りです。

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もちろん4歳とシカゴの街中で、かけっこして、おにごっこして、
サンデースクールを案内してもらったのも嬉しかったよ!

シカゴのお客さんの反応は素晴らしく良かった。

ラスベガスのようにキャーキャー声を上げて騒ぐわけではないけれど、
静かにじっと聴いているだけでもなく、
声を出して笑いながら、力強い拍手で励ましてくれる感じ。

この街の人たちは、上質のエンタテイメントに慣れている。
拍手を聞きながら、素晴らしい街で舞台を学んだなと思いました。


いつまでもSweet Home Chicagoです。

いつか、また来ます。 

March 15, 2015

トロントです。疑問。

トロントの劇場では、考えさせられる出来事がありました。


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アメリカやカナダは、舞台関係の労働に対して、
非常にしっかりした組合制度があります。

この組合の規定により、不当な労働をしなくてすむように
仕事を失う心配がないようになっているのです。

たとえば労働時間。決められた時間内だけ働く。
当たり前のようでいて、日本では余り無い光景です。

例えばトラブルがあって作業が難航し、
開演時間までに準備が終わらなそうでも、
前の夜に居残り作業をしたり、休憩を潰したりはできません。

また仕事の範囲。

「トラックの中から外へ物を出す人」
「そこから舞台上まで運ぶ人」
など細かく役割が決められており、
割り当て以外の作業には手を出さない。

一つの部署が明らかに遅れていてそれで全体が滞っていても、
手伝う事はできません。


この組合の規定に非常に忠実な劇場がいくつかあり、
(意外と老舗の大劇場がそうだったりするのですが)

そうすると私たちが、自分たちの荷物に触ることもできません。
舞台上を掃除することもできません。
幕の吊り替え作業を手伝うこともできません。



日本では、舞台芸術は、より「創作活動」という認識だから
「いいもの」を作ることが一番の目的で、
そのために時間や労力を、惜しみなくつぎ込むことが良しとされている。

こちらでは「舞台芸術」はきちんとした「労働」であるという
認識が強いのです。まずは、食べていける仕事でなくてはいけない。


日本人の美徳には、日本の考え方が合っているようですが、
でも結局そのせいで、舞台は儲からないものになっているのも事実。
社会的なステータスが上がりにくいのも事実。


この考え方の間で、トロントで本当にイライライライラして、
いや、分かるんだけど、怒っても仕方ないんだけど、
ここのやり方だからしょうがないんだけど~~~

というところで一日中もんどり打っていました。

別に一人一人は全然悪い人じゃない。
ただ規定に忠実なだけです。

でもとなりで困っている人がいても
「それは自分の仕事ではないので手伝えない」と言われると
人間としてどうなんだよ!と言いたくなってしまうのですね。


なかなか頭で理解していても気持ちが追い付かず、
おさまらない日でした。

ただ劇場の方針にもよるし、もちろん個人で大きな差があるし、
もともとのその人の話し方の癖で印象は変わるし、
一概に「制度」の問題ではないのですが。

大人にならねばね。


さて、12年ぶりのシカゴに来ました。

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ここで12年前に舞台の武者修業をしていました。
仕事で来られるなんて嬉しいです。

昔の仲間にも会えます。楽しみです!




 

March 12, 2015

震災から、4年です。

トロントで、3月11日を迎えました。
(記事の表記は日本時間での投稿日時なので3月12日だと
思いますが、カナダでは、今はまだ11日です。)


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一面氷の張った、オンタリオ湖。



東日本大震災から4年です。


世間の記憶は確実に薄らいでいく一方で、 
未だに仮設住宅から出られず、
その人たちを支えて闘っている人が大勢います。

その現実が、改善されるまでは決して忘れないように。


ちょうど一年前に気仙沼方面へ友人たちと行って以来
足を運ぶことは出来ていませんが、

ときどき少額の寄付をしたり、本吉から来る情報をシェアしたり…

今できることは少なくて申し訳ないですが、
大切なのは忘れないことだと思っています。


2013年の夏、仕事で、女川町へ行き衝撃を受けました。

そして昨年のお正月、どうしても被災地の現状を
きちんと見たくなって、石巻へ行きました。

3年たっているはずの、そこで見たものは信じがたかった。

すぐに誰かに見せたくなり、帰って来るや否や、
「誰か一緒に行く人!」とこのブログで呼びかけたところ、

すぐ2カ月後の3月に、5人の参加者と共に再訪が叶いました。


どちらも長編なのですが、お時間があればぜひ、
読んで頂ければ嬉しいです。

2013年8月の記事
女川公演レポート

2014年1月の記事
シリーズ気仙沼へゆく(1)
※シリーズ(4)まで読破すると30分はかかると思います。


2014年3月の記事
とうほぐツアーレポート


トロントの街にて、黙祷。
St.James寺院夜景。

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::::最近のコメ::::