November 23, 2006

読後呆ローレライ

終戦のローレライを読み終えました。

上巻、453ページ
下巻、597ページ
2段組。

圧倒的な量の文章を、緻密なリサーチと
こっちを没入させる臨場感で描ききった、
著者の福井晴敏にまずは軽く脱帽。


これは軍事SFとでもいうのだろうか、
たんなる潜水艦ものじゃなく、
人智を超えた部分があるんですね。
それが逆に読む側の心を軽くしてくれている。
第二次世界大戦終結間際の太平洋の話ですから
実話か、と疑った瞬間に襲ってくる後ろめたさが
物語を読みにくくしてしまう危険が、
見事に回避されていました。

まあストーリーやら戦争にたいする見解やらは
本題に入れずにおき。


こうやって本に「没入」してしまう事が
時々あります。
その本を読んでいる間は、寝る間も惜しみ、
仕事の休憩時間にも弁当片手に読み、
降りる駅で降りるのも忘れて3駅ほど行き過ぎ、
とにかく生活が、読書中心に回ってしまうどころか
私がその世界を生きているような錯覚が、
本を手放して(仕事中も食事中も)続く、
ということが、1年に1回くらいある。

小中学生のころまでは、それが日常だった、と
思い出す。私は本が好きだったんですね、
今思えば。大量に読むというよりは、
異常に没頭してしまう読み方をしていました。
ムーミン谷シリーズ、マガーク探偵団シリーズ、
クレヨン王国シリーズ、江戸川乱歩なんかが、
「没頭系」の筆頭でした。

その感覚がこのローレライで久々に蘇った。
いやー没頭した。

こういう本は、読み終わった後の脱力感が
大変なものです。

1000ページに渡る大作を、その最後の一文字を
目指して必死に駆け抜けた。
そこを目指していたはずなのに、
読み終えることを心から欲して読み進んだのに、
いざその一文字を目にしたとき、
もうこの物語を読めないことに、
寂しさ、哀しみ、慟哭の衝動が押し寄せる。

このままローレライと別れるのが辛いから、
映画も見てみようと思います。
9c19be2b.jpg



読み終わったのは2時間も前なのに
まだ興奮して眠れません。
よし、思い切って行こう太平洋へ。
機関始動!両舷前進強速!!!!!
っていう気分になっちゃうんですよね。いくつになっても。

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