October 24, 2013

そして今年も白新中へ

いやー、焦った。

去年大暴れしてしまったので、今年は無いかと思った。


昨年の秋、こんなことがありました。

2012年9月の記事「中学校で男子と格闘するアラサー女子(私)」
2012年10月の記事「続・闘うアラサー女子」

あばれたんですね。


新潟市にある中学校のなかでも、新潟大学付属中と、
この白新中は、全校挙げて演劇に力を入れている学校です。

私は一昨年より、この白新中学校で、秋の文化祭で行われる
演劇発表会のための準備段階で、演劇指導をさせてもらっています。

指導~といっても、放課後に2,3回お邪魔するだけというタイトな時間割なので
1,2年生に簡単なシアターゲームをして「相手のこと見るぞ!」が主眼の
ワークショップをやり、3年生に実技指導をチョロとする程度。

なのでいつも9月に、1,2年生用に1回呼ばれるはず~と思って
待ってたのですが、今年は音沙汰なし!

やっぱり去年、あばれすぎたから~~

と勝手に悲観しておりましたら、色々な学校の事情で連絡が遅れたとのこと。
残念ながら1,2年生はみること叶いませんでしたが、
その分3年生に時間を使って本番前の大切な週に2回、時間をもらいました。

3年生は2クラスあって、毎年1クラス1作品。
ことしの題材は、なんと両クラスとも「いじめ」でした。

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私が教え始めて3年目ということは、
今年の3年生は1年生の時から、わたしのことを知っているわけで、
私が行くと「あ、今年もきたの~」みたいな雰囲気つくってくれて、感謝。
あの悪魔のような男子たちが、やっぱり大人になるもんだ。

今年の3年生は、とってもやる気があり、最初から質問攻めでした。
これほど教える側としてやりがいがある中学の授業は、他にないんじゃなかろうか。

両者テーマは「いじめ」でも、
1組の作品はいじめが連鎖して、加害者と被害者が入れ替わりながら
どんどん広がっていくという、問題提起型バッドエンド。
2組の作品はいじめNO!と声を上げる勇気を持っていじめに立ち向かい
無意識の加害者と、被害者が最後に和解するハッピーエンド。

でも現実のいじめは、こんな単純な結末にはならない。
特に2組のようには、まずならない。表向きなったとしても、根底で
解決していないことが圧倒的に多い。人間の感情は、そうシンプル
にはいかないものだから。

特に、なんかハッピーに見える2組の作品は、難しい。
確実に、嘘っぽい。

2組は演技力も高い子が揃っていたが、
一見単純に見える台本を、そのまま演じてしまっている。
嘘っぽい。すべてが、嘘っぽい。 

AとBという二人の女の子がいる、AがCという女の子をいじめる。
Bは嫌だと思いながらも停められずに見ている。
そのうち、Cがそれを苦にしてかどうか分からないが、引っ越す。
AはBに、「Cをいじめたつもりはないし、Cもそれを苦にしていたとは
思わない」と話す。

これをA役の女の子がいとも楽しそうに話すので、
本当にいじめたつもりないの?本当に、Cはそれを苦にしていたとは
思わないの?と聞いてみたところ、はい、セリフの通りに捉えてます。

という。

ふーん、それならそれで否定はしまい。そういう介錯もアリ。
じゃさ、Bのこと、好き?と聞いてみた。
好きです、という。

じゃBに嫌われたくないよね、と聞いてみた。
嫌われたくない、という。 

そしたらそれだけを考えてやってみよーという提案をし、やってもらったところ、
Aは必死になり、信用を落とさないようにと表情がきつくなり、歩調が速くなり
なんだか人間っぽくなった。

このクラスの作品の場合は、最後に至るAとBの葛藤を生々しく
苦しみぬいて見せなければ、最後でしらけてしまうという予測が
出来たので、なるべく葛藤の表情が見えるように動きや位置を変更
してもらいました。

はたして、最後のセリフで彼女たちが殻を破れるか、
そこに成功か否か、かかっているね!


いじめはなくならないのでしょうか。

私は、決してなくならない、と確信している。

なぜなら、いじめが起こるのは、誰かに受け入れてもらいたいという、
人間の本能とも言える愛への欲求が原因だから。 

それは人間がいくら高度な知能を獲得しても、
人が誰かに愛されたいと願う限り、
誰かよりも優れていたいと思うのが当然で、
そのためには自分よりも劣っているように見える誰かの存在が必要だから。

いじめは誰かを苦しめたいのではなく、
誰かに愛されたいからおこるものなの。

これは誰かの受け売りでなく、私の持論です。
今回は、それをみんなに話しました。
みんなキョトンとするかと思ったけど、割と、納得の表情をしてくれた。
中学3年生なんて、大人だもんね。きっと多かれ少なかれ、誰もが、
その感情を経験しているんだろう。

だから舞台上では他の役に意識を向けることを忘れずに。
今回はそれだけ練習するので精いっぱいだったけど、
これ演出やってみたいなあ。 

今回もまた、総監督の子(演出ということですね)が帰りに
廊下まで追いかけてきて最後の最後まで質問してくれました。

本番が、上手く行くといいね。

だけど本当は、その「作ることにワクワクしている」顔を見ているだけで、
お客さんは充分まんぞくなんだけどね。

大成功を、祈ります。てか、確信しています。


ところで2年生の作品は、「明和義人」だという。 
江戸時代中期に、新潟市の新興商人が、長岡藩の悪政に悲鳴を
あげて一揆っぽく数か月の自治をおこなうが、結局出る杭はうたれ
討ち首獄門、という史実に基づいたストーリーで

考えてみると、これもいじめ問題なんですよね。

江戸時代も現代も、結局人間のやってることは変わらないように思います。

ただ救いだったのは、先生がおっしゃっていましたけれど、
いまの教育界では、いじめはなくならないけど、それを見つけて拾い上げて、
みんなで論じあえる風潮になりつつあるんですって 

子どもが頑張っているんだから、
大人も、そういう風潮の世の中に、変わって行けるといいね。 

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