March 15, 2015

トロントです。疑問。

トロントの劇場では、考えさせられる出来事がありました。


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アメリカやカナダは、舞台関係の労働に対して、
非常にしっかりした組合制度があります。

この組合の規定により、不当な労働をしなくてすむように
仕事を失う心配がないようになっているのです。

たとえば労働時間。決められた時間内だけ働く。
当たり前のようでいて、日本では余り無い光景です。

例えばトラブルがあって作業が難航し、
開演時間までに準備が終わらなそうでも、
前の夜に居残り作業をしたり、休憩を潰したりはできません。

また仕事の範囲。

「トラックの中から外へ物を出す人」
「そこから舞台上まで運ぶ人」
など細かく役割が決められており、
割り当て以外の作業には手を出さない。

一つの部署が明らかに遅れていてそれで全体が滞っていても、
手伝う事はできません。


この組合の規定に非常に忠実な劇場がいくつかあり、
(意外と老舗の大劇場がそうだったりするのですが)

そうすると私たちが、自分たちの荷物に触ることもできません。
舞台上を掃除することもできません。
幕の吊り替え作業を手伝うこともできません。



日本では、舞台芸術は、より「創作活動」という認識だから
「いいもの」を作ることが一番の目的で、
そのために時間や労力を、惜しみなくつぎ込むことが良しとされている。

こちらでは「舞台芸術」はきちんとした「労働」であるという
認識が強いのです。まずは、食べていける仕事でなくてはいけない。


日本人の美徳には、日本の考え方が合っているようですが、
でも結局そのせいで、舞台は儲からないものになっているのも事実。
社会的なステータスが上がりにくいのも事実。


この考え方の間で、トロントで本当にイライライライラして、
いや、分かるんだけど、怒っても仕方ないんだけど、
ここのやり方だからしょうがないんだけど~~~

というところで一日中もんどり打っていました。

別に一人一人は全然悪い人じゃない。
ただ規定に忠実なだけです。

でもとなりで困っている人がいても
「それは自分の仕事ではないので手伝えない」と言われると
人間としてどうなんだよ!と言いたくなってしまうのですね。


なかなか頭で理解していても気持ちが追い付かず、
おさまらない日でした。

ただ劇場の方針にもよるし、もちろん個人で大きな差があるし、
もともとのその人の話し方の癖で印象は変わるし、
一概に「制度」の問題ではないのですが。

大人にならねばね。


さて、12年ぶりのシカゴに来ました。

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ここで12年前に舞台の武者修業をしていました。
仕事で来られるなんて嬉しいです。

昔の仲間にも会えます。楽しみです!




 

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この記事へのコメント

1. Posted by K-Do   March 16, 2015 01:51
ジタバタ悶々しているナナコさんの姿が目に浮かぶようです。
旅の最後まで楽しんで~~!!
2. Posted by naco   March 18, 2015 20:09
>K-Do様

はい、文字通り、地団駄ふみました。そして周りの日本のチームメイトたちはいい迷惑だったと思います。反省です。

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