November 2013

November 28, 2013

帰ってきた舞台基礎講座

今年の年始、東区市民劇団の皆さん向けに
単発で、「舞台基礎講座」を開講。

そのときの記事はこちらです。 

東区劇団は長年市内で活動していますが、
毎回メンバーも大きく変わるし、子どもからおじいちゃんまで、
興味があれば、基本誰でも参加できる市民劇団ですので、

最低限の舞台用語やマナーなどをレクチャーたのむと言われ 
舞台の用語や関わるスタッフの種類、仕込み~本番までの
流れなどをざっとレクチャーした前回。

その後、9月に大きな公演を成功させ、舞台経験を積んだメンバーたち。


一段落して、また準備期間に入ったので、
ここらへんでもう一度、勉強会を…と2回目を企画してくれました。 

次はどんなことが知りたいのかな?と思いアンケートをとったところ、
本番を経験して、皆さんがもっとも知りたがったのは意外なことに「精神論」。


「袖中での居方は?本番中、袖でどう過ごすのが正しいの?」

「急なトラブルに対して、出演者としてどう対応すべきか?」

「ナナコが出逢った中で、素晴らしいと思う俳優さんとはどういう人?」


そして、「技術的なことや用語はネットや本で調べられるが、
そういう心構え的なことは、生で話を聴かないと分からない」と言うのです。

その通りだ!みなさん、本当に芝居作りが好きで、ちょっとでも環境を
改善しようと努めていることがよく伝わり、嬉しい一言でした。


とにかく 次の公演を見据えて、裏がうまく回るような実践的なアドバイス
のみに絞ってレジュメを考えました。

強制参加ではなく、劇団員じゃなくても興味があれば誰でも参加できます。
今回は、子どももたくさん来てくれて、参加者は約30名!


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冒頭は、簡単な用語のテスト。

「おす」「まく」「ばらす」「ぬすむ」「ばみる」「みきれる」など、
この劇団の仕込み~本番で確実に私が連発した用語のみ。
ときどき通じない場面が9月の公演時にもあったので、

「絶対通じてほしい単語30」のテスト。「開演は5分おしです」とかが、
実は通じていなかったんだということがわかって、ショックでした(笑)


あとは私の個人的見解ですが「ミスったときのトラブル対処法概論」。
それと「袖中での正しい舞台人の行動理論」。

みんな興味津々でいっぱい質問もしてくれて、
即戦力になれる実践的な話ができました。

それと、プロの舞台裏のピリッとした空気を知ってもらいたく
Wicked開幕時の新人スタッフの悪戦苦闘を追いかけたNHKの
ドキュメンタリー番組を見てもらいました。ww

子どもたちも、食い入るように見ていました。 
ほんの一瞬の舞台転換に掛ける、裏方の連日連夜にわたる調整や、
それでもなお上手く行かないこと、上手く行かなくて焦った時でも
二次災害を出さない対処が出来なければいけない、

とか、その根性に皆さんが初めて触れた瞬間でした。
 
今回初参加の方(演劇経験無し)が、
「この世界、思っていたより、ずっと深かった」と言って帰って行ったのが
印象的でした。


市民劇団とのお仕事で心がけているのは、何よりも「楽しくやること」。
それと同時に、「最低限舞台人の体裁を守ってもらうこと」。
後者は最初のうち、なかなか難しいです。本人たちはそんなつもりはなくて
参加していますからね。まさかっていうところで私に叱られるわけです。

「あぶなくなければいい」という考え方もあります。
でも、それでは本当の舞台の魅力には気づけないで、その人たちは
お金を払って遊んだだけ、という状態で終わる。

私が舞台監督で入る現場では、どんなに小さい子のダンスの発表会でも、
最低限の舞台人として扱います。

だから袖中でのマナーが悪ければ、子供だろうが父兄だろうが叱るし、
開演前に舞台上にスタンバイする子には、緞帳が上がる寸前に必ず、
声かけにいきます。「元気よくね!」って。

それって客を集めて見せる以上、趣味だろうと稽古事だろうと、マナーだから。

だけど、そういう経験って、より強い思い出になりませんか。
怖いスタッフに緊張して、真剣な舞台裏の空気に触れて、
だからこそ照明のあたる舞台上の床が心底大切に感じられるっていう感覚こそが、
私が圧倒された舞台の世界なのです。

そんな経験を3歳児でもおばあちゃんでも、誰にでもしてほしいと思います。


東区劇団のように、もっといい公演にしたい!という人たちには、
いっぱいいろんな話をしてあげたいし、いろんな疑問を聴いてみたい。
 
第二回は12月16日月曜日、夜7時半からです。
ご興味のある方はどなたでも参加できます。

ぜひ。 

November 26, 2013

古民家補修シリーズ「漆喰を塗る2」

寒くなる前に、外壁を完成させるぞー!

ということで、大胆にも玄関の壁を漆喰で塗りました。

DSC_0923


ペンキがはがれて白い壁も一部みずぼらしくなっていたので、
はげるペンキははいで、コーティング剤を塗り、漆喰を塗布!

DSC_0933

コテ跡を残して、こんな感じに。

さらに、21mm角の可愛いタイルを買ってきた。


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完成!

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いい出来なんだけど、ちょっと店舗っぽいよなあ…
やりすぎたかなあ…


この面積で、使用した漆喰は10kg、所要時間は3時間でした。
いじっていい壁をお持ちの方には、漆喰は簡単ですので、おすすめです! 

次回、シリーズ完結。「漆喰を塗る3」へ続く 

November 25, 2013

本YONDA「小太郎の左腕」

やばーいやばい、本を読むペースが落ちている。
これから辛い長い冬だから、ここから本腰入れて読みますぞ。

最近キテル作家といえば、和田竜(わだ りょう)でしょう。

文庫本が出たばっかりの「小太郎の左腕」を読みました。


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和田竜さんは何を書いた人かと言えば、
映画にもなったあの話題作「のぼうの城」の作者です。

そうです。時代小説作家なのです。
そして、そうです。私はサムライLOVEなのです。

もうわたしこれ、小説が大好きで、野村萬斎主演で映画化された時も
封切りと同時に映画館に押し寄せてしまったほど。
秀逸な小説の鉄則に洩れず、やはり本の方が面白かった訳なんですけれど

これが何と彼のデビュー作だったわけです。


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ちなみに「のぼうの城」を手に取ったきっかけは、
わたしの大好きなマンガ家さんが表紙絵を描いていたからなのですが

まそれも含めて、この作家さんは運を持ってますよね。 


さて話が逸れましたがこの「小太郎の左腕」はどういう話かと言いますとですね。

 
11歳の小太郎というボンヤリした性格の少年が山の中でひっそりと暮らして居るんですね。
ですがなんと彼は鉄砲の鬼神のような少年で、左構えの種子島を持たせたならば、
秒殺で百発百中、500メートルの距離から騎馬に乗った敵の甲冑武者を
一分の狂いも無く眉間を射抜いて落とせるほどの腕の持ち主なのです。

で、彼の祖父は、孫を戦場に出したくないがために、
その才能をひた隠しにして暮らしていたわけなんですが、
あるときその射撃が人の目に触れてしまい、
血に餓えた権力者たちが、無垢な彼を戦場へと引きずり出す、
というようなストーリーなのです。

で、なぜこの話が面白いのかと言うとですね。

「史実に基づいている」っぽいんですよ。


もちろん、基づいていないんですよ。フィクションなのです。
さすがにいねーよ、そんな11歳。

ですが、史実っぽいから説得力があり、まるで合戦を見てきて
報告を書いているかのような描写が多々ある。

わたし初めの6割くらいまで、実話だと思っていました。 

なぜかというと、ひとつには、「小太郎とその祖父は雑賀衆の出身」という
プロフィールになっていたこと。

戦国時代、紀伊半島に、雑賀衆(さいかしゅう・さいがしゅう)という
鉄砲傭兵集団が存在していたことは、戦国ファンなら誰でも知る史実ですが 
そこの人だっていうから。それらしい名前を並べて説明されたし。

忍者ハットリだって本当にいたわけだしさ。そんな感じなのかと勘違いしました。


さらに、司馬遼太郎と同じ戦法、「陣形」とか「刀の構え方」を詳細に描写する。
これですよ。

まず合戦地の地形を説明し、そこでの兵力、大将・副将の器量などのスペックを
紹介した後、陣形の説明に入ると、おそらく確かなものは地形、だけであるにも
関わらず、他の情報全てが確かなものであるように錯覚をするものです。

この戦法使ってたのよねー。やられました。


余談ですが、陣形描写の最たるものは「坂の上の雲」であり、
刀の構え方描写の最たるものは「燃えよ剣」であるように私は思います。
どちらも途中で指南書を読んでいる感覚になりました。
で、それが麻薬的なのです。

まあそんなことで、とにかく面白い。


「のぼうの城」って皆さん読みましたか。

埼玉県にあった弱小「忍城」(おしじょう)が秀吉軍に攻められたとき、
知恵を絞った秀逸な作戦と絶妙なチームワークで寄せ手を一歩も
近づけなかったという、

これは史実に基づいたお話だったのですが、

なにしろ和田さん、目の付けどころがいいのです。
忍城とかってそんな地味な城、いままで誰も取り上げてこなかったし、
雑賀衆だって剣客商売に比べたらそんなに目立つあれでもないしさ。

それらを拾い上げて、周辺の描写を細やかに描き込み信憑性を出したうえ、
やっぱり人間描写が面白い。彼の登場人物たちは、みんな個性豊かで、
敵役も人情と愛嬌があり、いつのまにか大好きになってしまう。

なんとも、独特の立体感を持つ和田さんの本。
時代小説読んだことがなくても、読みやすいと思いますので、
お勧めいたします。


次は「忍びの国」だな。
まだデビューしたてで、とりあえずこの三冊しかないし。

和田竜、なる者。こやつ、古今無双の、文豪じゃ。
次の本、もて!

 
sinobi
 

November 21, 2013

仮設能

長岡に出来たイベント施設「アオーレ長岡」にて、能を仕込みました。

体育館としても使える、アリーナ形式の客席を持つ広い会場です。


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これの設営を仕切ったのですが…

なんか大変だった~でかくて。
普段劇場サイズしか仕切ったことのない私には、新しい経験でした。

客席を、図面通りに整然と並べる、というだけで
何日も前から準備して、こんなに頭使うんだ。

屈強な、いかつい鳶のアンチャンたちに間髪なく指示を出す、
だけでこんなに気を使うんだ。

そして、彼らは見た目は怖いけど、いいひとたちなんだ。 



どんなに大きくても基本は一緒。

やることの全体量見て、優先順位つけて、適材適所な人配をする。
他の部署の進み具合見て、疲れてきたら休憩をとる。

小劇場でも、アリーナでも、おんなじ、おんなじ。


仮設は大変で、予定外なことの連続だったけど、
うん、おっきくても、できるな!
とても勉強になりました。

野村萬作さんも来て、お客さんは大喜びでした。

いい公演になりました。 

November 19, 2013

古民家補修シリーズ「漆喰を塗る」

もうスタッドレスを履かねばならない時期だと言うのに、
まだやらねばならないリフォームが残っている!

天気は悪いが本日はお休みなので、台所の壁&玄関の壁の
リフォームに着手しました。

そもそも2週間前にDVD観た映画「食堂かたつむり」で柴咲コウが
ブラザートムと一緒に古い納屋をリフォームしてカフェにした際


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壁がかわいい~~!!

と思ったのがきっかけで、

壁紙が破れてボロボロだった台所の壁、
ペンキが落ちて貧乏ちくなった玄関の外壁

を漆喰塗装&モザイクタイル、にしてみようと思い立ちました。

しかしなぜか休みごとに暴風雨で、本日に至ります。
今日こそはやるぞという覚悟が揺るがないように、ブログに記します。


まずは台所の壁から着手。

これが昨夜の状態。

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壁紙がボロボロでしたので、まずはカッターで壁紙を剥がしていきます。

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↑これが途中まで剥がれておりますが、根気のいる作業でした。
たたみ一枚分で2時間近くを要しました。


無事に、はがれました。

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下はどこかの遺跡のような色の砂壁でしたので、
ボロボロ崩れてこないように、またはアクが出てこないように
漆喰の前に下地材を塗っておきます。

「プライマー」という商品ですが、要するにバインダー、定着剤です。
これで漆喰の接着力を増強します。

塗りました。

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今回使う漆喰はネットで購入しました。
10kg3,500円と値段も手ごろな「ラ・クレセンテ」。

「高木アートラボ」さんに分けていただきました。

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これから玄関の下地処理に入って参ります。
吹きすさぶ寒風との戦いです。

いざ!


「漆喰を塗る2」へ続く




これまでのnanaibashiによる自宅リフォームおよび古民家との格闘遍歴はこちら


2010年10月の記事 「自宅水没」

2012年2月の記事 「脱出ゲーム」

2012年2月の記事 「部屋は、屋根の下にある」


2012年6月の記事 「居間改装大作戦・前編(または鈴木家の秘宝)」


2012年7月の記事 「私はえんとつ工事屋さん」 


2012年11月の記事 「居間改装大作戦・後編」

2013年5月の記事 「木曜大工」

2013年7月の記事 「古民家補修シリーズ 屋根を直す」

2013年8月の記事 「風呂に、根っこが。」
 

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