おでかけかんけい

March 20, 2015

シカゴです。懐古。

2002年、2003年に、舞台の仕事のインターン生として
武者修行をしていた街、思い出のイリノイ州シカゴ市です。

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よく映画なんかでも出て来ますが、街なかを走る高架電車
「CTA」が名物です。ホテルはこの線路のすぐ脇で、
電車の走る音で目覚めるという贅沢な朝でした。

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オフが一日あったので、思い出の場所を色々
散策できました。

住んでいたアパート、お気に入りのカフェ、
研修先の劇場、アルバイト先の古着屋。

それに、通い詰めていたブルースクラブです。


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これは研修先だったAmerican Theater Companyという
小劇場です。現在はスタッフが全員入れ替わってしまい
外側だけが当時のままでした。上演中で入れず。


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ブルースの有名店、ブルーシカゴ。
この日のDIVAはネリー・タイガー・トラビス。
狭い店内の全てがビリビリ震える物凄い歌声でした。

彼女は12年前にも歌っていたのを覚えています。
当時は金髪美女でしたが、今や貫禄が凄い。


地図がなくても、周りの景色でなんとなく12年前の
記憶が呼び戻されて、全ての場所に迷わず到着できました。


そして、たくさんの友人たちに再会できました。

それぞれ、結婚していたり、4歳の超可愛いジュニアがいたり、
新しい仕事を始めていたり、 シアターを続けていたり、いなかったり。

でも外見は誰も変わらず。優しさも変わらず。
この街で学んだことを、仕事にして再会できたことが嬉しかった。

一つの夢だったことが叶って、自分の中での一区切りです。

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もちろん4歳とシカゴの街中で、かけっこして、おにごっこして、
サンデースクールを案内してもらったのも嬉しかったよ!

シカゴのお客さんの反応は素晴らしく良かった。

ラスベガスのようにキャーキャー声を上げて騒ぐわけではないけれど、
静かにじっと聴いているだけでもなく、
声を出して笑いながら、力強い拍手で励ましてくれる感じ。

この街の人たちは、上質のエンタテイメントに慣れている。
拍手を聞きながら、素晴らしい街で舞台を学んだなと思いました。


いつまでもSweet Home Chicagoです。

いつか、また来ます。 

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March 15, 2015

トロントです。疑問。

トロントの劇場では、考えさせられる出来事がありました。


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アメリカやカナダは、舞台関係の労働に対して、
非常にしっかりした組合制度があります。

この組合の規定により、不当な労働をしなくてすむように
仕事を失う心配がないようになっているのです。

たとえば労働時間。決められた時間内だけ働く。
当たり前のようでいて、日本では余り無い光景です。

例えばトラブルがあって作業が難航し、
開演時間までに準備が終わらなそうでも、
前の夜に居残り作業をしたり、休憩を潰したりはできません。

また仕事の範囲。

「トラックの中から外へ物を出す人」
「そこから舞台上まで運ぶ人」
など細かく役割が決められており、
割り当て以外の作業には手を出さない。

一つの部署が明らかに遅れていてそれで全体が滞っていても、
手伝う事はできません。


この組合の規定に非常に忠実な劇場がいくつかあり、
(意外と老舗の大劇場がそうだったりするのですが)

そうすると私たちが、自分たちの荷物に触ることもできません。
舞台上を掃除することもできません。
幕の吊り替え作業を手伝うこともできません。



日本では、舞台芸術は、より「創作活動」という認識だから
「いいもの」を作ることが一番の目的で、
そのために時間や労力を、惜しみなくつぎ込むことが良しとされている。

こちらでは「舞台芸術」はきちんとした「労働」であるという
認識が強いのです。まずは、食べていける仕事でなくてはいけない。


日本人の美徳には、日本の考え方が合っているようですが、
でも結局そのせいで、舞台は儲からないものになっているのも事実。
社会的なステータスが上がりにくいのも事実。


この考え方の間で、トロントで本当にイライライライラして、
いや、分かるんだけど、怒っても仕方ないんだけど、
ここのやり方だからしょうがないんだけど~~~

というところで一日中もんどり打っていました。

別に一人一人は全然悪い人じゃない。
ただ規定に忠実なだけです。

でもとなりで困っている人がいても
「それは自分の仕事ではないので手伝えない」と言われると
人間としてどうなんだよ!と言いたくなってしまうのですね。


なかなか頭で理解していても気持ちが追い付かず、
おさまらない日でした。

ただ劇場の方針にもよるし、もちろん個人で大きな差があるし、
もともとのその人の話し方の癖で印象は変わるし、
一概に「制度」の問題ではないのですが。

大人にならねばね。


さて、12年ぶりのシカゴに来ました。

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ここで12年前に舞台の武者修業をしていました。
仕事で来られるなんて嬉しいです。

昔の仲間にも会えます。楽しみです!




 

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March 12, 2015

震災から、4年です。

トロントで、3月11日を迎えました。
(記事の表記は日本時間での投稿日時なので3月12日だと
思いますが、カナダでは、今はまだ11日です。)


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一面氷の張った、オンタリオ湖。



東日本大震災から4年です。


世間の記憶は確実に薄らいでいく一方で、 
未だに仮設住宅から出られず、
その人たちを支えて闘っている人が大勢います。

その現実が、改善されるまでは決して忘れないように。


ちょうど一年前に気仙沼方面へ友人たちと行って以来
足を運ぶことは出来ていませんが、

ときどき少額の寄付をしたり、本吉から来る情報をシェアしたり…

今できることは少なくて申し訳ないですが、
大切なのは忘れないことだと思っています。


2013年の夏、仕事で、女川町へ行き衝撃を受けました。

そして昨年のお正月、どうしても被災地の現状を
きちんと見たくなって、石巻へ行きました。

3年たっているはずの、そこで見たものは信じがたかった。

すぐに誰かに見せたくなり、帰って来るや否や、
「誰か一緒に行く人!」とこのブログで呼びかけたところ、

すぐ2カ月後の3月に、5人の参加者と共に再訪が叶いました。


どちらも長編なのですが、お時間があればぜひ、
読んで頂ければ嬉しいです。

2013年8月の記事
女川公演レポート

2014年1月の記事
シリーズ気仙沼へゆく(1)
※シリーズ(4)まで読破すると30分はかかると思います。


2014年3月の記事
とうほぐツアーレポート


トロントの街にて、黙祷。
St.James寺院夜景。

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モントリオールです。創造。

モントリオールです。


ここで何を観たのかと言うと… 


シルク・ド・ソレイユ本部!!!


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たった3人のサーカス団から始まったシルクが、
30周年を迎えた今、国家を巻き込んだプロジェクトに成長し、

モントリオールの拠点地区に巨大なリハーサルスタジオと
衣裳・小道具の工房、カフェテリア、学校、居住区を集結させ
市と協力して周辺の緑地化まで行っているのです。 


内部、写真が禁止だったので、何もお見せできないのですが、

リハーサルスタジオは体育館以上の広さがありました。
すべての演目を再現できる面積と床・天井の耐久性能。

巨大な衣裳工房では、染色、ペイントで全ての生地を自分たちで
着色し模様を手描きし、全てのパフォーマーの顔型があり
ヘッドアクセサリーやメイクの検証・作製ができる。

一人ひとりの体重や負荷に合わせた「スリング」を作る専門の
職人さんが居る。 

常にインスピレーションを喚起し、稽古場に居ても劇場の空気を
忘れないようにと、内装がいたるところオシャレでアート。

どの部屋にも、そこで一心不乱に自分の創作活動に没頭する
アーティスト、職人たちの姿があったのです。


そして地上20数階に、この「シルク」王国全土を見渡すことが
できるガラス張りの展望室がありました。

5年後、この建物の周りは緑地化プロジェクトが進み、
公園になっているはずだから見に来てね、と言っていました。 


自分たちが成功することだけでなく、
周りを幸せにすることを常に考えている団体。

働く人たちの意識の高さがビシビシと、痛いほど伝わってきて、
凡人の私でさえ、込み上げる創作意欲を押さえられないほど。


もう一度生まれ変わったら、ここで働きたい、
と思ってしまうような、素晴らしい「理想の職場」でした。


でも、もちろん人生は二度は無い。
ここからヒントを得て、日々の仕事の中に
プチ・シルクを持っていようと思いました。


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モントリオールは、旧市街と新市街があります。
ホテルはちょうど真ん中。

私は旧市街が好きなので、散策に出かけました。
モントリオールの、ノートルダム寺院。
ヨーロッパに居るかと見まがう美しい街並みでした。


いまモントリオールでは、寿司ブームだそうで、
いたるところに寿司スタンドがあります。

アメリカより、魚おいしいかな(サーモンあるし)と思って、
初トライ。醤油がちょっと甘しょっぱかったけど、
美味しかったです。ワインと一緒にみそ汁も飲みました。

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スケッチブックを買ってきて、次の公演の舞台装置案の
絵を描きました。

創作活動には、必ずインプットが必要です、私の場合。
そしてシルクは、アウトプットをしなければ精神を保てないくらい、
膨大で強烈なインプットだったのです。

その日はホテルの部屋が、私の工房になりました。 

nanaibashi at 07:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

March 07, 2015

ケベックです。親切。

国境を越えて、再びカナダに入りました。
今度は東側。ケベックシティです。

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カナダに入った途端、建物や商品のデザインが、
急にお洒落になった。現代的、というべきか。

主観ですけど。


楽屋かわいいし

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言語はフランス語だし

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ヨーロッパかどこかへ来ちゃったような気分です。
夜になるとマイナス20度という、凄まじい寒さですが。


ところで、ブログのタイトルに街の名前しか書かないと、
その街でどんなことがあったのか、自分でも分からなく
なってしまうため、

地名の後に、二文字熟語でその街や出来事を表現することに
してみたのですが、ケベックの「親切」はちょっと言葉足らず。


説明のために、「幸福度」の話をまず、します。


統計を見ると、カナダ人は国民の90%が自分の生活に
満足しており、その割合は世界第二位なんだそうです。
ちなみに一位はデンマークです。
(「幸福度」というと統計によって順位は前後するのですが
カナダは10位以内には入っている)
所得額や医療保険の普及度が高いことが要因らしいです。

しかもそのカナダ国内で、1,2を争う幸福な市がケベックシティ。


そこの市民はどんな人たちかと言うと、
自分が幸せだから人にも優しく出来ちゃうという、

ものすごく、いい人たちなのです。


と書くと稚拙な感想みたいに聞こえますが、
これが世界的に有名な話で、とにかくケベック市民は「いい人」と評判。

でも、実際そんな事ってあります?! 
みんながみんな、いい人ってどういう街なわけ?!


でも、それは劇場に行ってみて、
一緒に仕事をしてみたら、すぐに分かりました。

これ事実なんだと。 


とにかく親切。仕事を一生懸命とか勤勉、というのではなくて、
何か私たちのために出来ることはないかと、
四六時中考えて提案してくれる。

基本言語がフランス語なので、英語はたどたどしいのだが
もちろん私よりはずっとうまく、お互いに親近感が持てて、
一日しか居なかったのにずっと友達だったような気がしてしまいました。

本番前に、スタッフ楽屋にこんな差し入れ。

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「ケベック滞在を楽しんで下さいね!」という
メッセージと共にワインが。ホテルかっ ヮ(゚д゚)ォ!

印象的だったのは舞台チーフのジョンさんの言葉で
私が「We have a problem..」と言って何かを相談しに行くと
「There is no problem. There are only solutions.」
と返してくれたこと。
「問題」というものは無い。「解決策」があるだけだ。


この人たちが、たまたま親切なケベック市民だったのか、 
ケベック市民だから親切なのかは分かりませんが、

いずれにしても、

「自分が幸福だから、他人に優しくなれる」というのが
人間の本性であるならば、物凄く嬉しいなと思ったのです。 

だから私も、もっと全力で幸福になって優しい人間になろう!って。
なんだか凄く、清々しく背中を押された気がしました。
その理論を聞いて。



おまけ。


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こちらの劇場は、縦方向に通路がありません。
ズラ―っと一列、全部の座席が繋がっています。

ものすっごく出入りがしづらいし、
一番後ろのセンターにある音響席や照明席から舞台まで
来るのにめっちゃめちゃ時間かかりますけど、

どうしてこうなっているんだと思います??


正解は、非常時に、客が外に逃げようとして
混乱や事故にならないように、
絶対前の人を追い越せないようにするためです。

その変わり、写真のように、サイドに出口がかなりたくさんあり
横一列で順序良く逃げれば、ドアから全員スムーズに
出られるようになっているというわけ。

いつでも有事の際の事を一番に考えることは素晴らしいですね。


でも、本当に照明席、遠いよ( TДT) 


あと遅れて客席に入ると、 ものすごい回数「すみません、すみません」
って恐縮する羽目になりますよね。日本人には出来ないかも。 

nanaibashi at 10:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
::::最近のコメ::::